米Seagate Technologyは11月28日(現地時間)、2011年第4四半期ならびに来年以降の業績見通しについて発表した。それによれば、同社の部品工場やHDD組み立て工場はタイ洪水の影響を受けておらず、現在は外部の部品サプライヤが影響を受けるにとどまるという。こうした状況は2012年にも回復し、当初予想を上回る形での生産体制の回復や業績が期待できるようだ。
今年秋にタイで発生した洪水は首都バンコクを含む周辺地域を飲み込み、現地に生産工場を持っていた企業が次々と操業を停止するなど大きな影響を受けた。特にHDD関連は世界のHDD生産の3割以上がタイに集中しており、組み立て工場ならびに部品メーカー各社が大打撃を受けたことで生産がストップする事態となった。米Western Digital (WD)の工場が浸水して大きな被害を受ける一方で、今回幸いにもSeagateの工場は直接的な被害を免れている。だが外部部品メーカーの工場が被害地域にあった関係もあり、部品供給の問題による生産力低下はあったと認めている。同社によれば、今後数四半期は業界全体で洪水による影響が続く見込みで、2011年第4四半期の総HDD出荷台数は1億1000万-1億2000万程度に落ち込むことになると予測している。これは先日台湾Digitimesが報じたPCメーカーらの1億1000万-1億3000万の水準という予測とほぼ一致しており、すなわち3-4割ほど需要に対して供給が不足していることを示している。
Seagateによれば、同社会計年度で2012年第2四半期(2011年10-12月期)の出荷台数は4300万台になる見込みだという。また同四半期の売上は28億ドルを見込み、さらに同年度第3四半期(2012年1-3月期)には37億5000万ドルの大幅回復を見込んでいるようだ。米Wall Street Journalが報じたアナリストの売上予測によれば、第2四半期は26-27億ドルの範囲、第3四半期は32億5000万ドルであり、これら予測を大きく上回る回復ということになる。またSeagateでは、SamsungのHDD部門買収が2011年12月中にも完了する見込みで、来四半期にはこれに関する合併コストなどが含まれることになり、純利益に及ぼす影響が想定される。いずれにせよ、Seagateの生産力と業績回復はライバルや周囲の予想よりも早いものとなりそうだ。
なおこうした発表を受け、Seagateの株価は28日の時間外取引で一時10%以上の上昇を見せている。