先日、2011年第4四半期決算の下方修正を発表したばかりの台湾HTCだが、ここ1週間だけで株価が3割以上も急落する事態に見舞われている。だが同社が英Reutersに語ったところによれば、過去6四半期にわたって成長を続けてきており「第2のNokiaにはならない」とし、来年2012年初頭にはより競争力の高いフラッグシップ製品を世界展開していく計画だという。

HTCは先週23日に第4四半期の業績見通しを前年同期比ほぼフラットの「ゼロ成長」になるとの見方を発表し、その直後から株が売り込まれるという事態に見舞われている。同社によれば、世界的な経済減速と先進国市場でのスマートフォン競争の激化が背景にあるという。実質的にAppleとSamsung Electronicsの2強が市場の成長分をほぼ吸収してシェアを拡大する一方で、前年度比で販売がほぼ横ばいのHTCはシェアを減らす形になっているといえるだろう。この8営業日で株価3割下落という水準は、Reutersによればスマートフォンメーカー中最低だという。これまでOEM中心で動いてきたHTCが、ここ数年急速に自身のブランドを築き上げた力に疑問符がつき始めたと投資家が判断したというのだ。スマートフォン市場でのアーリーアダプターだったHTCは、圧倒的だった携帯業界トップの座が急激に揺るぎつつNokiaと比較されることもあるが、同社によれば「第2のNokia」になることはないという。

HTC CFOのWinston Yung氏はReutersのインタビューの中で「事態はそれほど深刻ではない」と述べ、これまで6ヶ月連続成長を達成しているほか、今年全体の出荷台数は少なく見積もっても4500万台で、これは昨年2010年の2500万台を大きく上回るというのがその主張だ。またすでに来年2012年の新製品にフォーカスしており、それらはより良く競争力あるものになるだろうという。米国市場や世界向けのLTE製品のほか、いくつかのフラッグシップ製品をグローバル市場向けに提供していく計画だと同氏は説明する。だが最大の商戦期である第4四半期はすでに見通しが厳しいほか、同社が新製品投入を予告している2012年前半にはライバルSamsungからもGalaxy Sシリーズの新製品発売が見込まれるため、そう簡単に情勢を挽回できない状態だ。Appleとの裁判でS3の特許が有効でないと判明したことも投資家らの目にはマイナスに映っており、HTCにとって来年はこうした情勢を立て直す期間となることだろう。

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