スマートフォン大手の台湾HTCは11月23日(現地時間)、同社第4四半期(10-12月期)の業績予測を当初の水準から大幅に引き下げたことを発表した。同社によれば、世界でのスマートフォン需要が低くなっていることのほか、Appleらライバルらとの競合が激化していることが原因に挙げられるという。
同件を報じている米Wall Street Journalによれば、当初HTCは第4四半期の売上を前年同期比20-30%増の1250-1350億台湾ドル(NTD)と予測していたが、これが「おおよそ前年並み」の1040億台湾ドルになる見込みだという。これは、成長率がほぼゼロに近いことを意味する。一方でHTCは来年2012年前期にはある程度回復が見込めると説明しているが、すでに今回の発表を受けて同社株価は6.90%下落の526台湾ドルで24日の台湾証券取引所(TSEC)の取引を終えている。
HTCは初のAndroid端末「T-Mobile G1 (HTC Dream)」をリリースしたことからもわかるように、各スマートフォン・プラットフォームに早い時期から食い込み、主に欧米の市場を中心にシェアを拡大してきた業界最大手の1つ。世界全体で従来のフィーチャーフォンからの買い換えでスマートフォン需要が伸び続けるなか、同社の主戦場である北米や西欧の先進国市場では経済情勢の悪化もあり市場の伸びが陰りを見せている。またHTCが得意とする高級モデルではAppleやSamsungといったライバルがおり、必然的に限られた市場を奪い合う形となる。前年比マイナスではないものの、急成長にストップがかかった背景には、こうした経済情勢の変化と競争激化があるようだ。これはまた、先進国市場をターゲットとする競合各社にもいえることだろう。