東京証券取引所と東京証券取引所自主規制法人は26日、「上場会社を巡る最近の諸問題を受けた要請」と題するコメントを発表した。
この中で東証は、「大変遺憾ながら、最近、当取引所の上場会社の中で、その子会社の取締役会の決議を経ずに取締役に対する多額の金銭の貸付けが行われたとの疑惑が指摘されているケースや、過去の企業買収に関連してアドバイザーに対する不透明な報酬の支払いがあったとの内部告発が行われたケースが、相次いで生じた」とし、大王製紙やオリンパスを巡る問題を指摘。
東証に対しては、これらの上場会社の経営者が株主の負託に背いて不当に上場会社の企業価値を毀損したのではないかとの厳しい批判や、わが国企業のコーポレート・ガバナンスの質に起因する問題であるとの指摘、さらには、他の上場会社の中にも同様の問題をはらんでいる者が少なからず存在しているのではないかと不安視する声が、内外の投資者から同取引所にも数多く寄せられているという。
東証では、こうした疑いが指摘されている上場会社に対して、不明瞭な情報が発生する都度、事実関係や会社としての見解を可能な限り迅速かつ正確に開示するよう求めるとともに、経営者から独立した者によって構成された外部組織による事実関係の究明とその結果の公表を要請するなど、円滑な価格形成と市場秩序の維持に努めている。
また、今後、事実関係が明らかになった段階において、上場ルールや上場基準に抵触する事実があれば、粛々と対応するとし、さらに、金融庁・証券取引等監視委員会、監査法人その他関係各方面との連携を強め、今後の事態の推移にも備えていくとしている。
東証では、上場会社に対し、株主の負託に応えて企業価値の向上に努めることが上場会社経営者の責務であることを社内に徹底するなど、コーポレート・ガバナンスの充実に注力するとともに、改めてコンプライアンス体制やその運用の状況に遺漏がないか再確認を行うなど、最善の努力を払うよう要請している。