Consumer Electronics Association (CEA)は10月25日(現地時間)、今年のクリスマスシーズン商戦におけるユーザーの家電・電子機器の消費額は昨年比6%増の246ドルで過去最高になるとの調査結果を報告した。商品カテゴリのトップはタブレットで、それにノートPC、TV、電子ブックリーダー、ビデオゲーム機が続くという。再び景気後退懸念が強まるなか、年末商戦に向けてメーカーはどのように製品をアピールし、市場を賑わしてくれるのだろうか。

今回の年次調査報告は「18th Annual CE Holiday Purchase Patterns Study」の名称で行われたもので、そのハイライトがプレスリリースの中で紹介されている。前述のように、クリスマスシーズン商戦においてユーザーが家電・電子機器に消費する予定の金額は昨年比6%の増で、調査開始以来最大になるという。一方で2011年の通年での消費額は平均で769ドルと昨年比で3%の増、CEAによる年末商戦の小売り売上は2.5%増になると見込んでいる。CEAのShawn DuBravac氏によれば、家電・電子機器が引き続き年末商戦での主役になるとの予測だ。

なお、CEAが発表した調査報告における、成人を対象にしたクリスマスギフトのウィッシュリストのトップ5項目は次のようになる。

  • 洋服
  • タブレット・コンピュータ
  • ノートPC
  • 平和/幸せ
  • お金

先ほど家電・電子機器のトップ項目筆頭として紹介した「タブレット・コンピュータ」「ノートPC」が入っており、これらが目玉ということになりそうだ。

そのほか興味深い話題としては、電子アクセサリやギフトカードの利用が進んでおり、特に成人の約8割が「ギフトカード」の購入を検討している。これらはコンテンツやサービスのプリペイドカードとして利用されるもので、例えば4分の1のユーザーがこれを楽曲購入に充て、5分の1のユーザーが電子書籍の購入に利用し、さらに16%がモバイルアプリの購入に利用するという。購入傾向の分析としては、消費者が最も気にしているのは「価格」であり、「購入のしやすさ」や「返品ポリシー」を重視しているとのことで、ユーザーの3分の2が事前にオンラインで値段をチェックするなど、より賢い買い物を行う傾向があるとしている。

またCEAによれば、ユーザーはオンラインでの買い物よりも量販店や実店舗などでの購入を好む傾向があるという。となれば各小売店に買い物客が殺到して潤うと予測されるが、現実には小売店にとってそれほど明るいニュースにはならない可能性もあるようだ。例えばWall Street Journalの最新のレポートは、人気といわれるタブレットや電子ブックリーダーにおいて、AppleのiPadはタブレット市場シェア74%、Amazon.comのKindleとBarnes & NobleのNookは電子ブックリーダー市場でそれぞれ61%と27%となっており、どれもメーカー直販での販売が中心になっていると指摘する。そのため、タブレットや電子ブックリーダーの販売が増加しても、既存小売店を潤すことにはならないというのだ。

またメーカーや業界団体らの予想とは逆に、今年の年末商戦が比較的厳しい情勢にあるとの見方もある。WSJではNPD Groupの調査員Stephen Baker氏による「これら製品の多くはゴールデンタイムに突入するにはまだ不十分」というコメントのように、期待ほどには反響が少ないとの見方を紹介している。またCEAとは別の団体の調査としては、National Retail Federation (NRF)の報告があり、それによれば、NRF自身はホリデーシーズン商戦の売上について2.8%増を見込んでいるものの、一般利用者を対象にしたアンケート調査で消費金額の意向が昨年の718.98ドルからわずかに下がり、704.18ドルだったとしている。この兆候は一部の小売業者からも見受けられ、例えば米Amazon.comは25日に発表した決算の中で、今年の年末商戦での売上成長率は昨年に比べて鈍化するとの見通しを発表しており、その売上見通しがアナリスト予測を下回ったことで時間外取引での株価が大幅に下落するという事態に見舞われた。

今年の年末商戦はいよいよ来月11月からスタートするが、業界が期待の新製品としてタブレットや電子ブックリーダーに注力する一方で、それらがユーザーの意識とは乖離せずにきちんと受け入れられるのかに注目が集まることになるだろう。