俳優の松田翔太が、26日、六本木ヒルズで開催中の第24回東京国際映画祭(TIFF)特別招待作品である映画『ハードロマンチッカー』の舞台挨拶に出席した。
映画『ハードロマンチッカー』は、在日韓国人二世で山口県下関で生まれた高校中退のフリーター・グー(松田)が主人公。外国人・警察・ヤクザと顔は広いが、誰ともつるまないグーは、後輩の辰(永山絢斗)が起こした事件をきっかけに暴力の連鎖に巻き込まれていく――というストーリーで、監督は、映画『THE 焼肉ムービー プルコギ』(2007年公開)などで在日韓国人二世の出自を描いてきたグ・スーヨン。
舞台あいさつには、キャストの松田、永山、渡部篤郎、遠藤要とグ・スーヨン監督が出席し、松田は「僕もネットで衝撃映像を見慣れてるけど、この映画では交通事故に遭ったような、海の中でサメに出会ったような衝撃を感じてもらえると思う」と自信を持ってPR。グーにしつこく迫る下関署刑事・藤田を演じた渡部は「この映画の中で、僕が唯一まともな役でした」と笑わせ、「『ハードロマンチッカー』って訳の分からないタイトルだけど、若い俳優たちが演じきった迫力と繊細さを観て感じてほしい」とアピールした。
ストーリーの軸となる事件を起こす後輩・辰役の永山は「最近見ないような男らしい映画。10代の煮え切らない悶々とした感情が表現されていると思う。個人的には、こういうストーリーに参加したことがなかったので、挑戦だったし楽しかったです」と撮影を楽しんだ様子。松田と家が近いと明かした渡部は「翔太君とやりたかったんですよ。よく近所で会ってたんですけど、挨拶くらいで。今回は若い人達と映画が作れて光栄です」と若い俳優達との共演に満足げだった。舞台あいさつには映画主題歌『13 new ache』を歌う黒夢の清春と人時も登場し、清春は「映画に負けないようにバイオレンスに仕上げた。初の映画主題歌の仕事がこの映画で良かった」と喜びを語った。
「日本の映画にはない感じに仕上がっている」と作品に太鼓判を押すグ・スーヨン監督は、暴力しか知らない若者達=”ハードロマンチッカー”について、「周りの人と上手くやっていこうという人達ではないんです。もっと大事なことがあると思って生きている人達。あんまり“ハードロマンチッカー”になるのはオススメしませんね」とコメントすると、松田も「僕もやさしくなりたい、やさしくしたい、やさしくされたいのです。”ハードロマンチッカー”のような男はオススメしません」と監督と主演のダブルでバイオレンスの否定をして会場を笑わせた。また、最後に挨拶をした松田は「女性の方が多いんですね……(バイオレントなシーンが多いので)つまらなかったら出て行ってもいいんで」と集まった観客に謙虚なPRをしていた。
映画『ハードロマンチッカー』は、11月26日(土)から全国東宝系で公開予定。
(C)2011「ハードロマンチッカー」製作委員会