ソニーとEricssonは10月27日、ソニーがEricssonの保有するSony Ericsson Mobile Communications株式の50%を取得し、Sony Ericssonを完全子会社とすると発表した。ソニーは現在スマートフォン(携帯電話)を除くデバイス事業をすべて本体側で手がけており、同社の完全子会社化は分散していた事業を集約し、開発の効率化が狙いとなる。

ソニーによるソニーエリクソン(Sony Ericsson)株式の全額取得の交渉は、今月初めごろからWall Street Journal紙をはじめ複数のメディアによって報じられていた。ソニーエリクソンは2001年にソニーとスウェーデンのEricssonが50:50の折半で出資したジョイントベンチャーで、ワールドワイド展開をにらんだ携帯電話端末の製造開発の集約を主眼に置いていた。だが前述のように、ソニーでは携帯電話を除く事業、具体的にはPC、タブレット、携帯ゲーム機など、携帯電話(スマートフォン)以外のすべての事業を本体で手がけており、携帯電話のみが独立した事業体として存在していることは事業部間の連絡も含め、リソースの分散という問題があった。成立から10年の歳月を節目に、ジョイントベンチャーの株式を全額取得して傘下に収めることで、こうした開発製造リソースの効率化を図るのが今回の買収の目的だ。今回の株式取得については、2012年1月までの完了を目指していると両社では説明する。

なお、ソニーエリクソン自身も戦略上の岐路に到達しつつあり、ソニーによる完全子会社化を経て事業体制の刷新を図ることになるだろう。ソニーエリクソンは10月14日(欧州時間)に行われた2011年第3四半期(7-9月期)決算発表会において、2012年以降の同社製品ポートフォリオをすべてXperiaなどスマートフォンへと移行し、既存のフィーチャーフォン事業からの撤退を表明している。携帯電話が近い将来にもスマートフォンなど高級端末と、途上国向けの単価100ドル以下の安価な携帯電話の2極に収れんしていくといわれるなか、自身のポジションを見据え、高収益体質への転換と生き残り策の模索が携帯電話メーカーには求められつつある。製品ポートフォリオの整理と開発リソースの一本化が、ソニーにとっての生存戦略なのだろう。

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