日本マイクロソフトは24日、同社の携帯端末向けOS「Windows Phone 7.5」の最新状況を解説する説明会を開催した。Windows Phone向けの日本市場向けアプリも1万を突破したほか、国内端末の「IS12T」向けに「近々にキャリアメールに対応する」(コミニュケーションズ パートナー統括本部長横井伸好氏)予定だ。
Windows Phone 7.5は、従来の携帯向けOSのWindows Mobileを全面的に刷新し、「使いやすさ、機能性を重視するだけでなく、デザインの美しさ、分かりやすさが両立することを目指した」(横井氏)OSだ。国内では、Windows Phone 7.5になり、国内初の端末「IS12T」がKDDIから登場し、マイクロソフトでは日本市場での普及に向けて積極的に施策を展開している。横井氏は、「新しいコンセプトのスマートフォンで、UIも今までと全く違う」ことから、まずユーザーに使ってもらうことが「ハードル」との認識で、早期に結論を出すのではなく、「日本市場にコミットし、腰を据えてやっていく」考えだ。そうした中、実際のユーザーからの評価は上々のようで、横井氏がWindows 95を含めた長い業務経験の中でも「今までよりも強いフィードバックをもらっている」という。Twitterのコメントも巡回ツールを使って分析しているそうで、「使っているからの評価は高い」そうだ。
横井氏は、今年のグッドデザイン賞ではソフトウェア部門でWindows Phone 7.5、携帯電話部門でIS12Tが受賞したことも、「中身(OS)もガワ(端末)も賞をもらって嬉しい」と喜び、特にWindows Phone 7.5で採用された新しいメトロUIが、今後PC用の「Windows 8」にも搭載されることから、その点でも高評価に安心しているようだ。Windows Phone 7.5の利用を促進するための施策では、国内で重要視されるキャリアメールへの対応を進めており、開発中のEメールアプリを初公開。早期のタイミングでリリースする計画だ。Eメールアプリ自体は、標準のメールアプリとは別に搭載するが、標準アプリと同様の使い勝手で「ezweb.ne.jp」ドメインのメールを利用できるようになるという。アプリ内ではauの絵文字の送受信にも対応する。
Windows Phone 7.5の情報を集約したポータルサイト「windowsphone.com」では、Windows Phoneユーザー向けの「My Windows Phone」を提供。IS12Tからアップロードした画像や動画、Officeファイル、Xbox Liveのゲーム実績、カレンダー、受信トレイなどにアクセスできる。また、端末紛失時にブラウザ経由で端末の現在地を検索したり、リモートロックやリモートワイプをしたりといった機能も提供する。
Windows Phone 7.5の利用促進を図るため、マイクロソフトではWindows Liveなどの各種クラウドサービスとの連携と「OneNote」をアピールする。
Liveサービスでは、PCと同期できるメール、カレンダー、アドレス帳の機能を紹介。また、無償で25GBの容量を提供するSkyDriveについても触れ、Microsoft Officeから直接保存してWindows Phone端末からファイルを表示・編集したり、画像や動画を直接端末から保存したりといった使い方を紹介した。
さらに、家庭用ゲーム機Xbox 360と連携するXbox Liveのデータを同期し、アバターを表示したり、オンラインのユーザーとメッセージをやりとりしたりといった機能も用意。今後、Windows Phone端末がXbox 360のコントローラーとなる「Xboxコンパニオン」も今後提供する予定だ。
このほか、家庭用ホームサーバー用OS「Windows Home Server 2011」を利用することで、家庭内のデータを集約し、それを外出先からWindows Phone端末でアクセスするといった機能も実現できるとWindows Phone 7.5のメリットをアピールした。
OneNoteは、同社のOffice製品の中で最も満足度が高い製品とのこと。インフォメーションワーカービジネス本部Office製品マーケティンググループ エグゼクティブプロダクトマネージャの松田誠氏は、あらゆるデジタルデータを集約し、それをPC、Windows Phone端末間で同期できる機能を「Windows Phone端末とWindows PCのそれぞれの価値を最大化するキラーソリューション」と表現する。
あらゆるデジタルデータを集約できるOneNote。検索機能も強力で、画像内のテキストもOCRで検索できるようになる |
録音機能を使いながらメモを取ると、録音とテキストが同期して記録されるため、あとから確認しやすくなる |
登録したデータは、保存動作を行わなくても自動的にSkyDrive経由でWindows Phoneと同期できる |
OneNote、SkyDrive、Windows Phoneの組み合わせがキラーソリューションになるとアピールするマイクロソフト |
アプリに関しては、全世界で3万以上のアプリが公開され、1日150~200程度のアプリが増えているという。そのうち、1万以上のアプリが日本からも利用できるようになっており、コミュニケーションズ パートナー統括本部エグゼクティブプロダクトマネージャの中島憲彦氏は、「(日本からは)1日30~40、多いときは50のアプリが出ている」と説明。「日常生活でWindows Phone端末を使うには困らないぐらい、使いたいアプリがそろってきている」とアピールし、「そろそろWindows Phoneアプリが少ないとは言って欲しくない」と中島氏は強調する。
なおマイクロソフトは現在、毎週金曜日に東京・品川の同社本社で「Windows Phone Friday Lounge」を実施している。同イベントは、テーマを決めてWindows Phoneの利用状況を説明するというもの。さらに、品川駅構内では、10月25日から31日までの間、Windows Phoneを紹介する「Windows Phone Station Lounge」を実施する。このほか、auショップ品川でIS12Tを購入した人に、西武グループのホテルなどで使える「プリンスチケット」5,000円分をプレゼントするキャンペーンも実施。赤坂サカスでは、10月28日から11月6日まで、ドリンクサービスとともにIS12Tのタッチ&トライコーナーを設け、芸能人をゲストに呼ぶスペシャルステージを実施する。
アプリのプロモーションとしては、お勧めアプリを紹介した冊子をauの店舗で11月半ばから配布する。また開発者向けに現在実施中の「スマートフォンアプリ選手権」も展開。日本語版の開発ガイドも出版されており、さらに開発者からのフィードバックを受け付けるサイトをオープンし、無償のハンズオンも実施していく。マイクロソフトのエバンジェリストが「手弁当」で実施しているというUstream番組「UX-TV」では、その場で質問に答えてサンプルコードを公開するなど、さまざまな施策を展開している。