日立アプライアンスは10月14日、同社の加湿空気清浄機「プロアクティブ クエリア」の記者向け説明会を開催した。説明が行われたのは、8月29日に発売された新モデルに関して。新モデルは加湿・除湿機能を搭載した最高スペックモデルの「EP-GV1000」(25畳用)と加湿機能搭載の「EP-GV65」(24畳用)、「EP-GX50」(20畳用)、空気清浄機能のみの「EP-GZ30」(15畳用)がラインナップされている。

3モデルの実勢価格は、EP-GV1000が89,800円、P-GV65が49,800円、EP-GX50が29,800円、EP-GZ30が11,800円。P-GV65のみホワイトのほかに、レッド、ブラックと計3種類のカラーラインナップが用意されている。

本体カラーが3色用意された「P-GV65」。3色ともにクルマの塗装のような光沢のあるメタリック調のカラー

同社によると、新モデルで最も強化が図られたのは脱臭機能だという。EP-GV1000とEP-GV65の上位2機種では、“トリプルパワー脱臭フィルター”を採用。脱臭フィルターに3種類の脱臭素材を組み合わせることで、11種類のニオイ成分と4種類のVOC(揮発性有機化合物)を低減し、脱臭性能約96%を達成した。

トリプルパワー脱臭フィルター。3種類の脱臭素材が組み合わされているだけあり、他メーカーの脱臭フィルターと違ってズッシリとした重みがある

脱臭フィルターの素材として使用されている1つは“シーキュラス”と呼ばれるものだ。ナノサイズの微細孔部分でニオイ分子を吸着。ペット臭などのアンモニア、魚の腐敗臭などのトリメチルアミンといった窒素系のニオイに効果が高いという。

2つ目の素材は“活性炭”。脱臭フィルターに使われている一般的な素材の1つで、窒素系のほか、タバコ臭に含まれるアセトアルデヒドや焼肉臭のイソバレルアルデヒドといったアルデヒド系、料理臭などの酢酸、体臭・部屋干し臭などのイソ吉草酸といった酸系と、幅広いニオイを吸着する。

3つ目は“触媒式活性炭”だ。ニオイを吸着する効果に加えて、排水口やトイレ臭などの硫化水素、野菜の腐敗臭などのメチルカプタンといった硫黄系のニオイを中心に触媒により酸化し、ニオイを抑える。

また、脱臭コースに通常モードの「いつも脱臭」に加えて「焼肉」が搭載されている。ボタンを押して最長3時間連続で強風量の運転を行い、その後は8時間まで定期的な循環運転を行うというモードだ。焼肉や鍋などが発する強いニオイに関して、ニオイの発生時に強力な運転を行い、ニオイの拡散を最小限に留める。「脱臭効果がある」と他のメーカー数社が謳うマイナスイオンの発生機能を搭載しない日立としては、部屋にニオイが行き渡って染みつく前に脱臭を図るという点に力を注いだ印象だ。

脱臭フィルターは2枚。手前の「ダチョウ抗体フィルター」は、抗体の性能を維持するために出荷時には同梱されず、付属のハガキを投函すると無料で届く

EP-GV1000の操作パネル。脱臭コースで2つのモードを選択できるようになった

集じん機能では、下位2モデルを除いて“HEPAフィルター”を採用した。HEPAフィルターは、「定格風量で0.3μmの微粒子99.7%以上を集塵する性能を持つ」とJIS規格で定義されているフィルターで、他メーカーも含めて今年の空気清浄機で多く見られるもの。0.3μmのフィルターで捕集可能な微粒子は花粉やカビをはじめ、細菌、くしゃみ、鼻水などの水分と結びついた飛沫系のウイルスも、大きめのものであれば捕えることができる。

さらに、上位2機種には「ダチョウ抗体フィルター」も備える。ダチョウの卵から精製した抗体をフィルターに練り込んだユニークなもの。抗原抗体反応の効果により、同社が京都府立大学と富士フイルムに依頼して行った試験では、フィルターを透過した5種類のウイルスの活動を抑制する働きが確認された。

動画(クリックすると別ウィンドウで開きます)
空気清浄機の周囲に蒸気を満たした蒸気を吸い込ませる、集塵性能のデモ。その速さは十秒ほど(ファイル形式はMotion JPEG、再生時間約12秒、ファイルサイズ6.25MB)

除湿機能を備えるEP-GV1000は、デシカント式のローターを採用。ヒーターでローターを温めることで湿気を多く含む空気を熱交換器に送り、除湿材で吸着させる。このため、気温が低い時期でも除湿能力を保つことができるのが特徴だ。除湿能力は最大で1日約6.5L。本体サイズは、W39.8×D29.3×H64.8cmと、除湿機能も備える加湿空気清浄機としては比較的スリムでコンパクトな印象だ。

1日あたりの電気代は、空気清浄運転時で2円(静運転時)~30円(ターボ運転時)。加湿空気清浄運転は約3円(弱運転時)~30円(ターボ運転時)。除湿運転を行う場合は、約153円(中運転時)~290円(ターボ運転時)で、ヒーターを使うぶん電気代が高くなってしまう。一方で、待機時消費電力ゼロを実現。また、部屋の状態に合わせて自動で運転制御を行う「eco節電運転」設定により、消費電力は通常運転時の約23%低減できるという。