シャープは12日、サイクロン掃除機の新製品発表会を開催した。発売日は10月20日で価格はいずれもオープン。推定市場価格は最上位モデルの「EC-WX300」が90,000円前後、標準モデルの「EC-VX300」が75,000円前後、軽量コンパクトモデルの「EC-PX200」が40,000円前後となる見込みだ。
同社が今回発表した製品のポイントのひとつは、業界初という「ダストキャッチユニット」の搭載。2010年夏に衛生用品メーカーのユニ・チャームが発表した調査によると、80.2%が窓を閉めた状態で掃除をしており、その理由として「窓を開けないと、ホコリが舞ってキレイにならない気がする」といった理由を挙げている。同社ではこうしたユーザーの掃除機の利用状況を踏まえ、本体内の小型モーター駆動の吸引ファンが掃除中に空気中に舞い上がるホコリを捉える機能を新たに搭載した。シャープによると、「新製品では従来機種に比べて空気中に浮遊するホコリを半減できる」とのことだ。
また、シャープ独自の技術「プラズマクラスター」機能を備え、排気とともに排出。約15分間の掃除中に、ダニの糞や死骸の浮遊アレル物質に含まれるたんぱく質を切断して不活性化し、作用を91%抑制できるほか、ダストカップ内にも放出することにより静電気を抑えて内部へのゴミ付着を抑える効果があるという。
吸い込んだゴミを分離するサイクロン部分では、「ロングスクリューサイクロン」を新たに採用。掃除終了後にフィンが自動で回転。ダストカップカップ内のゴミを1/10程度に圧縮し、捨てやすいように押し固める。内部のフィルター部分にも従来よりも凹凸がなく、目が細かい「なめらかステンレスメッシュ」を採用し、ホコリが付着しにくい構造に改善されている。
静音性の改良では、「ハイブリッドサイレンサーシステム」を採用。掃除機の低騒音化においては、モーターカバーを覆い隠すなど遮音性能を高めるというのが常套手段だが、新モデルでは「吸音マフラー」「パワーヘッドサイレンサー」「排気サイレンサー」、「モーター吸音ドーム」といった音を吸音するための機構をヘッドブラシなどにも搭載。さらにモーター部分に振動を吸収するゴムを取り付けるなど、全体で7か所に静音機能を備えることで、コンパクトモデルで業界最小運転音の52dBと、他メーカー製で最少の53dBをわずかに下回る仕様を実現している。
また、モーター部のカバーによる遮音性の向上ではなく、7つに分散した静音性機構の採用により本体重量も軽量化。最上位モデルのEC-WX300で800g減の総重量7kg、標準モデルのEC-VX300で1kg減の同6.8kg、コンパクトモデルのEC-PX200で200g減の4.1kgと軽くなっている。
その他、ハンドル部分に「軽・らくフィットハンドル」を採用。従来は傘の柄のように開放型だったグリップ部分を、閉じた傘の形状に変更することにより手首への負担を軽減する。ヘッド部分も水平方向の操作性が向上し、部屋の隅や窓際などの掃除にも小回りがきくよう改善されているという。
日本電機工業会(JEMA)の調査によると、2011年8月の電気掃除機の国内出荷台数は44万台。紙パック式とサイクロン式の構成比率はほぼ半々だが、年々サイクロン式の比率が高くなっている。発表会でプレゼンテーションを行ったシャープ 健康・環境システム事業本部ランドリーシステム事業部長の阪本実雄氏は「2012年はサイクロンの比率は53.1%とさらに高くなると予測している。国産メーカーとして2000年に初めてサイクロン掃除機の1号機を発売したのはシャープ。11年の間に、メンテナンスや運転音、排気など掃除機のさまざまな課題を克服してきた」としたうえで、「今までの掃除機は掃除をすると床はキレイになっても空気を汚してしまうという問題点があったが、今回はこの点を重点に改良を加えた」と新製品の利点を強調。排気用のフィルターについても0.3μmの捕獲力のある従来のHEPAフィルターから0.15μmの捕獲力のあるULPAフィルターを上位機種で採用していることを明かした。