システムの変更点
インストールに関しては11.04に比べて大きな変更点はない。標準のファイルシステムもExt4のままで、個別にパーティションを設定する場合においてBtrfsを設定できるようになっている。
その他、改良点はどのようになっているのか。以下にベータ版時点でのOneiric Ocelotの主な新機能及び対応をあげる。
- Ubuntu カーネル (Linux 3.0.4ベース)
- GNOME 3.2の採用
- Unityの改良
- LightDMの導入
- Ubuntuソフトウェアセンターの改良
- Synaptic及びPitiviの標準インストールの廃止
- Thunderbird 7.0をデフォルトのメールクライアントに採用
- Deja Dupを標準のバックアップツールとして採用
- GNOME Classicの廃止
- GTK+3のテーマエンジン採用
- Gwibberのパフォーマンスの向上とGNOME3による新しいUI
- Firefox 7.0、LibreOffice3.4.3の採用
最新のGNOMEを採用してきたUbuntuが11.04でGNOME 3を見送ったが、11.10ではGNOME 3を採用した(ベータ版では3.1.92)。ただし、UI部分に関してはUnityを採用しているため、Gnome Shellは標準では入っていない。
11.10より新たなディスプレイマネージャが採用された。これまでUbuntuはGnomeのディスプレイマネージャGDMを使用していたが、LightDMと呼ばれるディスプレイマネージャに変更されている。LightDMはあらゆるデスクトップ環境に対応することやX.Org及びX Serverの標準のディスプレイマネージャにすることを目的として開発されている。Ubuntuに採用されたことで今後、他のLinuxディストリビューションにも採用されていくかもしれない。
Ubuntuソフトウェアセンターが強化され、よりグラフィカルになった。新たにメインページが用意され、ニューリリースのパッケージやトップレートが表示されるように変わった。各カテゴリページにおいても、名前順、トップレート順、関連順、ニューリリース順にソートできるようになった。
もともとUbuntuソフトウェアセンターはUbuntuシステム用に開発されているパッケージ管理アプリケーション。以前よりSynapticの廃止とUbuntuソフトウェアセンターの標準化を目標としていたが、11.10で実現した。Synapticのサポートは続けており、インストールすることで使用することが可能だ。
また、新たにバックアップツールとしてDeja Dupが標準インストールされている。Deja Dup(day-ja-doop)を使うことでGUIで指定したディレクトリを定期的にバックアップしたり、リストアすることができる。システム設定にも入っており、バックアップアイコンが用意されるようになった。
Ubuntu 11.10では、これまで使われてきたクラシックなデスクトップUI(以下、旧デスクトップUI)が完全に廃止された。11.04においてすでにUnityを標準のデスクトップ環境としたが、Compizが動作しない環境では旧デスクトップUIが使われていた。
11.10では完全に旧デスクトップUIが廃止されている。その代わりにUbuntu 2Dと呼ばれるデスクトップUIを提供するようになった。Ubuntu 2Dによって、Compizが動作しない環境でも通常のUbuntuと同じデスクトップUIを提供できるようになっている。Ubunu 2Dは、ログイン時に設定することで使える。
もし、旧デスクトップUIを使用したいのであれば、"gnome-session-fallback"というパッケージをインストールすることで解決できる。インストール後、いったんログアウトしてログイン時に設定で"GNOME Classic"を選択することで旧デスクトップUIになる。
Gnome Shellもすでに公式でサポートしている。"gnome-shell"パッケージをインストール後、一度ログアウトし、ログイン時に"GNOME"を選択することでGnome ShellのUIでUbuntuを操作できるようになる。
その他、これまでGnomeの標準メーラEvolutionが使われてきたのがThunderbirdに変更され、ビデオ編集ツールであるPitiviの標準インストールも廃止された。FirefoxやLibreOfficeは最新のバージョンが収録されている。また、GTK+3のテーマエンジンの採用により、GwibberのUIが新しくなった。