GIGABYTEは、同社グラフィックスカード製品に関する技術説明会「GIGABYTE Tech Tour 2011」を開催した。

今回の会では、既にリリース済みの製品だが、GV-N56GSO-1GI(GeForce GTX 560)、GV-N580SI-15I(GeForce GTX 580)の2製品を例に、搭載されているクーラーや回路設計、採用している部材について担当者から説明があった。

GIGABYTEのグラフィックスカードのコンセプトとして語られたのは「REAL GRAPHICS」「TRUE GAMING」。REAL GRAPHICSでは、まずグラフィックスカードにも同社マザーボードで採用されている「Ultra Durable 2」同様に、高い品質基準を設けているという点が紹介された。また、GV-N56GSO-1Gで採用されているその他の機能としては、6フェーズの電源回路と「ブロードライザ」が説明された。GeForce GTX 560のリファレンスでは4フェーズの電源回路が採用されている。ここをGV-N56GSO-1Gでは6フェーズと増やしたことで、安定した電源供給とオーバークロック性能の向上を図ったという。一方、ブロードライザはフィルムコンデンサの一種で、大量の電気エネルギーを確保できることから、電流ノイズの低減が実現するという。

GV-N56GSO-1GIを搭載するデモ機

リファレンスデザインより2フェーズ多い6フェーズ電源回路を採用

高品質なコンデンサ「ブロードライザ」を採用しノイズを低減

グラフィックスカード向けUltra Durableの各バージョンの違いがわかる一覧。UD VGAはUD2に2オンス銅箔層を追加、UD VGA+はUD VGAにブロードライザを追加している

つづいてGPUクーラー「WINDFORCE」が紹介された。それによると、まずWINDFORCEにはデュアルファン構成のWINDFORCE 2XとトリプルファンのWINDFORCE 3Xがあり、さらにエアフローの方向がいくつか設定されている。WINDFORCE 2Xは、デュアルファンという現在のグラフィックスカードのトレンドを踏まえつつ、一般的にはPCB基板に対して平行にレイアウトされるファンを、前後に風を振り分ける「ミラーリング傾斜」、あるいは前後どちらかひとつの方向に風を送る「平行傾斜」というように傾斜をつけてレイアウトしているのが特徴だ。GV-N56GSO-1GはWINDFORCE 2Xの平行傾斜を採用している。

GPUクーラーWINDFORCEにはファンの数で2つに大別され、さらにエアフローの方向の違いでいくつかのバージョンがある

GV-N56GSO-1GのWINDFORCEは「2Xの平行傾斜」。合わせてファン口径を10cmに拡大し、銅製ヒートパイプなどを採用

搭載ファンはPWM制御に対応し最大200rpm、1基あたり30.5CFMのエアフローを発生させる。そのほかダイレクトヒートパイプタッチや、ヒートパイプ・シンクの結合部は無はんだプロセスを採用している

10cm径の平行傾斜ファンで最大負荷時29dBAを実現したという

上が10cmファンのWINDFORCE 2X。下の通常サイズのファンと比べてひとまわり大きい

GPU接触面にヒートパイプがむき出しとなっているダイレクトヒートパイプタッチ

アルミヒートシンクに注目すると、その構造が傾斜していることに気づく

GV-N580SI-15Iはエンスージアスト向けのスーパーオーバークロック「SOC」シリーズの製品。「GPU GAUNTLET」を掲げ、選別チップを採用することでずば抜けたOC性能を実現するという。そしてGV-N580SI-15Iは液体窒素冷却も視野に入れた設計が施されている。同社マザーボードでもお馴染みのDual BIOSだが、GV-N580SI-15IのDual BIOSは片方がバックアップBIOS、もう片方はLN2 BIOSとして窒素冷却用のための設定が施された「エクストリーム BIOS テクノロジー」が搭載される。この2つのBIOSはボード上のスイッチで切り替える(要再起動)。LN2 BIOSは、液体窒素冷却で問題となるCool Bug、これは冷えすぎることで動作が不安定になるものだが、これを回避するための設定であると説明している。

GV-N580SI-15Iには選別チップを用いているとのこと

高クロック動作が可能な選別チップ君がチャートをぶっちぎるスコアを実現、といった解説漫画のひとコマ

Dual BIOSの片方は液体窒素冷却向け設定。ただ、通常のDual BIOSのようにバックアップBIOSとしても利用できるという

Dual BIOSのデモ映像では、LN2 BIOSをオンにすることで、-173℃でも安定動作している様子が映し出された。また、オーバークロッカーの投稿型ランキングサイトにおいて、GV-N580SI-15Iを用いた記録が上位に複数ランクインしていることなど、究極OC向けの信頼性をアピールした。

GV-N580SI-15I上のBIOS切り替えスイッチ。ただし切り替えには再起動を要する

通常BIOSでは-50℃あたりから過度の冷却によって動作が不安定になるが、LN2 BIOSを適用することでこれを克服し最終的に-173℃でも動作したという映像が流された

投稿型OCランキングサイトでGV-N580SI-15Iを搭載したシステムが1位、2位を記録したという同社の資料

そのほかGV-N580SI-15Iでは電源フェーズ数も12層(GPUのみ。加えてメモリに2層、PCI-E用に1層を搭載している)に増強、ブロードライザも5基搭載し(うち4基をGPUに、1基をメモリに割り当て)ここでのノイズ低減も図ったとしている。GPUクーラーは3連ファンのWINDFORCE 3Xで、乱流を防ぐため、最後尾の1基を外側に傾斜させている。また、140×86mmという巨大なVAPOR CHAMBERの採用も特徴だ。

電源回路はGPUが12フェーズ+メモリが2フェーズ+PCI-E回路が1フェーズという構成

GV-N56GSO-1GIで1基だったブロードライザは5基に拡大

VAPOR CHAMBERを用いた3連ファンのWINDFORCE 3Xを搭載

3連ファンは最後尾の1基に傾斜を持たせ、さらに基板の鉛直方向にも傾斜を持たせ、カード上方へと風を誘導する

こちらはリファレンスクーラーとの比較で33%の冷却性能向上が実現したという

最後はソフトウェア。SOCシリーズは他のシリーズと異なり「OC Guru」という専用管理ソフトが採用されている。スライダー式のインタフェースを採用するとともに、GPU電圧の設定も可能。OC、Gamer(OCのほかコントラスト等の画質設定も可能)、Green(省電力向け)という3つのタブに機能を割り振ることで、目的の設定項目にアクセスしやすくしている点も特徴だ。ステータス監視機能も備えている。

デザインを一新、目的ごとに機能をタブに収めたユーティリティ「OC Guru」が付属する

NVIDIAからはスティーブン・ザン氏が招かれ、国内外のPCゲームイベントの盛り上がりについて説明した

この秋から来年にかけ、ビッグタイトルが新作ラッシュ。PCゲーマーにとって最高の秋をGeForceで楽しんで下さいとアピール