現在開催中の最先端IT・エレクトロニクス総合展「CEATEC JAPAN 2011」、今回はイメージング機器、平たくいえばカメラ関係の展示から、気になったアイテムをご紹介しよう。

体験20分待ちはザラ! 人気のソニー3Dデジタル双眼鏡「DEV-3」

「DEV-3」の体験コーナーはこの賑わい! なお、中央から右側はヘッドマウントディスプレイの行列。こちらも大人気

ソニーブースを訪れると、長い行列がまず目に入るはずだ。その列のひとつが、今回のCEATECが初のタッチ&トライの機会となった3Dデジタル双眼鏡「DEV-3」だ。レンズ・センサー・画像処理エンジンのすべてをダブルで搭載し、高画質フルハイビジョン3D動画撮影を実現した双眼鏡という、きわめてユニークなアイテム。右目用と左目用、それぞれ1,920×1,080ドット(フルHD)の非圧縮動画および写真を撮影でき、撮影した映像は3D対応の液晶テレビ「ブラビア」で観賞できる。

基本的な使い方は、やや大振りながらごく普通の双眼鏡とほぼ同じ。顔の前に構えて接眼レンズに目を当てたら、中央のダイヤルで視差を調整。その後、左右接眼レンズのダイヤルで、それぞれピントを調整すると……。おぉ、確かに飛び出して見える! 3Dグラスで観るテレビとは違い、視野すべてが3D映像なのでひときわ迫力が感じられる。

もちろん、ファインダーはEVF。有機ELではないものの、十分見やすいといえるだろう。なお、右手人差し指付近のボタンで、2Dと3D表示の一発切り替えが可能。正直、2Dの方が見やすく、だが3Dの方が面白い。ズームレバーは、ハンディカムユーザーにはお馴染みの横倒し式レバーを採用。最大ズーム倍率は、2D時10倍、3D時は8倍となっている。

体験コーナーでは1人あたり1分の時間制限があり、3D動画を撮影して…とはいかないが、今までにないジャンル(つまり世界初!)のプロダクツに、真っ先に触れられるのは貴重な体験だ。

従来の双眼鏡の概念もデザインも打ち破る、「DEV-3」のイカしたスタイリング。こんなのを見たら、男子はそりゃ並びますよ! そういえば、映画「STAR WARS」で、ルーク・スカイウォーカーがこんな双眼鏡を使っていたような気もする

ソニー自慢のG LENSが2つ並ぶフロントマスク。左側にはメモリースティックDUOとSDXCカードベイがあることが分かる

レンズがひとつでも3D映像が楽しめる!? 3Dスイングパノラマ機能

パノラマ画像の左半分がずれていることから、3D写真になっていることがおわかりいただけるだろう。鑑賞するには、3D対応ブラビアと3Dグラスが必要

ソニーブースでユニークな展示が行われていた。「α65」や「NEX-5N」「サイバーショット」シリーズで撮影された3D写真である。ちなみに、これらのカメラはどれもレンズが1つしかない。「それにもかかわらず、3D写真?」といぶかしく思って説明を求めたところ、これはカメラをサッと一方向にひと振りしてパノラマ画像を撮影する、あの「スイングパノラマ」の技術を応用して生成した3D画像とのこと。スイングパノラマの機能を使い、右目用左目用それぞれの画像を生成、その画像のズレを検出して繋ぎ、一枚の3D画像にしているらしい。なるほど!

したがって、3D画像がおしなべてパノラマ風になってしまうという側面もあるにはあるが、この技術の良いところは、3D写真に驚異はあるものの従来のスイングパノラマ機能搭載カメラでも、ファームアップすることで対応できる可能性があることだ。これは、まだ3D撮影のために大きな投資をしたくない人にも朗報だろう。対応機はまだ未定とのことだが、こういったフォローアップを考えてくれているのはありがたい。

レンズが1つしかない「α」シリーズや「サイバーショット」シリーズで撮影できるのが嬉しい。専用装備がなくても撮影できるのなら撮ってみたい、という人は少なくないはず

隣には、発売中の3Dハンディカムも展示されている。こちらはレンズ・イメージセンサー・画像処理エンジンのすべてをダブルで搭載、フルHDの高画質3D動画撮影を実現している

パナソニックブースに二眼式3D対応LUMIXが!?

3D映像ソリューションの展示に力を入れるパナソニックのブースで、見たことがない「LUMIX」が展示されているのを発見! 正面に全面スライド式のレンズバリアーを備える、3D撮影対応の二眼式コンパクトデジカメだ。イメージ的には、富士フイルムの「FinePix REAL 3D W3」に近いと思われるが、こちらの方がレンズの間隔が狭いのは、レンズの広角端が25mm相当と広いために視差を稼げるからだろう(FinePix REALは広角端35mm相当)。

レンズは25~100mm相当(35mmフィルム換算)の光学4倍ズームで、非球面レンズも採用しているようだ。手ブレ補正は、同社独自の光学式手ブレ補正MEGA O.I.S.

トップビュー。独立した動画撮影ボタンとステレオマイクを搭載、動画はAVCHD対応であることがわかる。ロゴ下には黒のガムテープ片が……。おそらく、ここにモデル名がプリントされているはず!

……などと勘ぐってはみるものの、「今冬発売予定」ということ以外、説明員の方が何も教えてくれない(笑)。仕方ないので、やむを得ず外観から仕様を分析してみたい。もちろん、これはあくまで展示機のもので、発売時には変更される予定があるが。

側面にはHDMIロゴがあることから、3D対応ビエラで画像や映像を鑑賞できるようだ。なお、背面は撮影することができず、裸眼対応3Dモニタが搭載されているかどうかは分からなかった

ほかにも、パナソニックのブースでは、ミラーレス一眼のヒットブランド「ルミックスG」シリーズの交換レンズ群を展示している。注目は、新たにラインナップされた「Xレンズ」の名を冠する2本「LUMIX G X VARIO PZ 14-42mm / F3.5-5-6 ASPH. / POWER O.I.S. H-PS14042」と「LUMIX G X VARIO PZ 45-175mm / F4.0-5-6 ASPH. / POWER O.I.S. H-PS45175」だ。

F値を見ると平凡なレンズにも思えるが、それは早計というもの。非球面レンズとEDレンズを奢り、パナソニック独自のナノサーフェスコーティングを施したことで画面端まで優れたコントラストと解像感をえることができるという。何より小さい! 「LUMIX G X VARIO PZ 14-42mm」は、標準電動ズームレンズながら、収納時の長さはわずか26.8mmと超コンパクト! また、「LUMIX G X VARIO PZ 45-175mm」においても、約90mmの全長がズーム全域において変わらないのだ。

「LUMIX G X VARIO PZ 45-175mm」と「LUMIX G X VARIO PZ 14-42mm」。“システムの小型化”というマイクロフォーサーズマウントの利点が、ここへきてついに現実のものとなってきた。どちらも10月中旬の発売予定

既に発売されているLUMIX Gレンズも展示されている。試してみたいレンズがあるユーザーは、リクエストしてみよう

モデル常駐の試写ブースも用意されている

本格的な3D撮影機能を持つハイアマ向けムービーカメラ「HDC-Z10000」のスケルトンモデルも展示されている。こちらも来場者の関心を集めていた

CP+などカメラ関係の専門イベントとは異なり、CEATECでカメラ関係の大きな発表があるわけではない。だが、二眼式LUMIXのような思わぬ発見もあり、また最新作に触れられる嬉しいチャンスでもある。残す会期はあと明日1日。気になる方はぜひ、足を運んでみてはいかがだろうか。