JR新津駅から近い新津車両製作所(新潟市秋葉区)は、JR東日本直営の車両工場だ。毎年秋に一般公開イベントを実施しており、本誌も2008年にイベントの模様を詳しくレポートしている。
日本で唯一の鉄道会社直営車両生産工場「新津車両製作所」に潜入
今年は10月8日に開催される予定で、入場は無料。関係者以外はめったに立ち入れない「電車の工場」を見学できるチャンスだ。過去の内容を振り返りつつ、その見所を紹介しよう。
新津車両製作所を「体験する」
新津車両製作所のメインイベントといえば「できたて電車の試乗会」。同工場で完成し、JR東日本の車両基地へ出荷される直前の車両に乗ることができる。しかも新津では、広大な敷地内を走行してくれる。わずか数百メートルとはいえ、電車の走る姿は臨場感たっぷり。
現在、ここで製作している車両はE233系一般型電車が中心。首都圏の人にとっては珍しくない車両かもしれないが、工場内での走行は普段と異なる特別な車窓が楽しめる。そのおかげもあって、体験乗車は大人気だ。現地に着いたら早めに列に並ぼう。
新津車両製作所の"乗り物"といえばもうひとつ、「トラバーサー」がある。これは車両を1両ずつ平行移動させる機械で、蒸気機関車の向きを変える転車台の平行移動版といえる。車両工場にしかない珍しい"乗り物"なのだ。
新津車両製作所を「見る」「学ぶ」
車両工場は電車を製造する場所なので、他の車両基地イベントとは違い、完成品の電車は多くない。ただし、工場だけに組立ラインの設備が大きく、そこに新津ならではの魅力がある。たとえば電車を釣り上げるクレーンは必見。新津ではクレーンがかなり高く上がり、前後左右へ大移動する様子も見られる。
クレーン実演では、車両の床下を眺める楽しみもある。新津の場合、2階の通路からもクレーン実演を見ることができ、こちらもかなり迫力がある。ただし、2階の通路は人数が限られるから、実演時間を確認して早めに見に行くといいかもしれない。会場内イベントの開始時刻は、入場時に配布されるチラシに書いてある。もらったらなくさないようにしよう。
電車の試乗会やクレーン実演などは、大人も子供も楽しめるイベントだ。ただ、鉄道好きなら「学び」の展示もチェックしておきたい。本誌取材時、建物内では新津車両製作所の歴史や、これまで製造してきた車両の写真が展示されていた。クレーン実演が行われる工場の奥では、鉄道車両の部品を加工するための珍しい大型工具、自動機械も多いので、「メカ好き」には必見だろう。
また、本誌取材時には鉄道の安全を支える保線作業を実演するコーナーもあった。自走式の砂利固め機やレール研磨機はもちろん、人力によるかつての保線風景を再現することもある。何人もの作業員がツルハシやドリルを持ち、かけ声で息をあわせてながら作業する。
ちなみに筆者が見学したとき、作業員はなかなかのイケメンぞろいだった。
新津車両製作所で「食べる」「遊ぶ」
その他、社員食堂では食堂車のメニューを再現し、各地の駅弁を販売するなど、「食べる」楽しみも多かった。ミニ列車や電車型トレーラー、プラレールや鉄道模型のコーナーもある。移動遊園地が来たかのようなサービス満点のイベントなので、鉄道ファンのみならず一般の親子も楽しめるだろう。
新津車両製作所へのお得なきっぷ
新潟県内から来場する場合、JR東日本旅行商品「びゅう」の「新津車両工場公開 日帰りパック」が用意されている(2名以上での申込みが必要)。新潟駅発着の旅行代金は大人2,200円、小児1,900円で、「お弁当引換券」と「特設売店の500円ぶんの商品券」が付く。
東京から現地へ向かう場合は、「ウィークエンドパス」や「鉄道の日記念・JR全線乗り放題きっぷ」などを検討してもいいかもしれない。
「ウィークエンドパス」はおとな8,700円(おとなの休日倶楽部会員は6,000円)、こども2,600円。新幹線に乗車する場合は別途料金が必要だが、東京発着のおとな料金なら、乗車券分だけでも約2,000円お得だ。「鉄道の日記念・JR全線乗り放題きっぷ」は快速・普通普通列車しか乗れないが、イベント開催日の10月8日は有効期間内となっている。
JR東日本新津車両製作所の一般公開は10月8日(10:00~15:30。入場は15:00まで)開催。同工場へは新津駅西口から徒歩15~20分程度。無料シャトルバスも約10分間隔で運行される。
当レポートで紹介した内容は、2008年一般公開時を元にしています。本年度のイベントでは、公開内容に差異があります