現在、米Appleと韓Samsungの間では互いの製品出荷差し止めを求めて世界各地で訴訟合戦を繰り広げているが、その主戦場ともいえる米国でSamsungに援軍が現れている。米Verizon Wirelessは本件について、もしSamsung製品の出荷差し止めが認められるようなことがあれば、同社のLTEベースの4Gネットワークならびにそれを利用するユーザーが被害を被ることになるとの訴状を裁判所に提出し、適切な判断を下すよう訴えている。
米Verizon Wirelessは全米最大の携帯キャリアであり、今年2月には同国でiPhoneの取り扱いをスタートし、それまでAT&Tが行ってきたiPhoneの独占提供体制を崩している。実際、Verizon WirelessはiPhoneの取り扱い後に新規顧客獲得ペースを伸ばしており、これが同社の業績向上に貢献していることは間違いない。一方で、VerizonではDROIDシリーズをはじめとするAndroid製品群を多数扱っており、Samsungの上顧客の1社でもある。
そしてVerizon Wirelessでは昨年2010年末からLTEを使った4Gネットワークを全米展開しており、この4Gに対応した数少ない製品ラインナップに端末を提供しているのがSamsungだ。もしAppleの訴えが認められて米国でのSamsung製品販売が禁止された場合、4Gネットワークをサポートできる端末の多くがラインナップから消滅することになる。
英Reutersによれば、Verizon Wirelessは現地時間の9月23日付けで北カリフォルニア地方裁判所に対してこうした趣旨の訴状を申請しており、裁判所の決定しだいではVerizon Wirelessならびに米国の同キャリアユーザーの利益を損なうことになるとの説明を行っている。今回の訴訟を巡り、AppleとSamsung以外の利害関係者が直接絡んでくるケースはおそらく初とみられ、その意味で今後の動向が注目される話題となりつつある。