ローランドは、同社ビデオ関連機器の新製品発表会を、東京・港区のザ・プリンスパークタワー東京にて開催した。ローランドといえば、音楽制作・音響機器のイメージも強いメーカーだが、最近では特にインターネットによる動画の共有や配信を中心に、HDビデオ関連機器などにフォーカスした製品も充実させている。コンシューマからプロフェッショナルまで幅広いユーザーに対応するラインナップを揃えた。

ビデオ関連機器新製品発表会の冒頭には、代表取締役社長 田中英一氏により基調スピーチが行われた

同社代表取締役社長 田中英一氏の基調スピーチにて開幕した今回のイベント。ビデオ関連機器のラインナップをさらに拡充するコンシューマ向けのビデオ編集システム「Video Canvas DV-7G」が発表された(価格:オープンプライス/10月13日発売予定)。DV-7Gは、初心者でも使いやすいユーザー・インタフェースを採用した映像エディットソフトウェアと、アナログ感覚で操作できるUSBオーディオ・インタフェース機能付き専用コントローラー「EC-1」(マイク内蔵)をパッケージした映像編集ツール。だれでも手軽に本格的なムービー作品を作ることが可能となっているのが特徴だ。

さらに、パッケージには、多彩な業務用コンテンツも提供しているアトリエビジョンによる、ロイヤリティフリーの映像/音楽素材があらかじめ多数用意されており、DV-7Gを購入したその日から、インターネット動画配信、セールスプロモーション、 デジタルサイネージ、音楽プロモーションビデオなど、様々な用途に対応した高品位なハイビジョン映像の制作を行える。なお、映像エディットソフトウェアには、さまざまな使用目的を想定して作られた10種類のスタイルサンプルが収録されているため、それをベースに初心者でも手軽に映像編集にチャレンジできるという。

映像エディットソフトウェアには、タイトラー、映像切り替え、フィルター、合成、音声効果、各種映像・画像・音声素材などを豊富に搭載 。製品の概要や操作の仕方を会話形式で説明した「DVDマニュアル」も同梱されるので初心者も安心

会場では「Video Canvas DV-7G」の展示のほか、映画作家・大林宣彦氏からのメッセージビデオも公開された

さらに、DV-7シリーズをベースに開発されたHDビデオワークステーション「DV-7HD」も同時にお披露目された。本機は、シンプルで直感的な操作性をそのままに、XDCAM-EX/XDCAM-HDファイルに対応。デジタル/アナログ入力、BDドライブなどをPC本体に標準装備するなどハイエンドな仕様となっている。予価は60万円で、2012年初頭発売予定

発表会後半には、特定音の抜き出し、ノイズ除去、残響音の再調整などを可能にする新開発の音声処理技術「V-Remastering」および「VariPhrase」の搭載により、音楽を視覚的に編集できるオーディオプロセッシングソフトウェア「R-MIX」および、同iPad用アプリ「R-MIX Tab」の紹介も行われた。R-MIXは、ステレオミックスとして完成された音楽を周波数、定位、音量の3つのパラメーターで分析し、楽器音をグラフィカルに表示。それらの楽器音を選択して音量バランスを変える、消す、残す、エフェクトをかけるなど、従来では困難とされていた信号処理をシンプルかつ視覚的な操作で実現する。

一方、iPad用となるR-MIX Tabは基本的にプレイヤーとしての機能に特化されており、iPodライブラリなどからの音声を再生しながら、リアルタイムにR-MIXとほぼ同等(ピッチ関連などの機能を除く)の処理を行えるアプリとなる予定だ。

オーディオ信号に対して周波数ごとに「レベル」や「定位」といった音楽的情報を算出し、各音色のバランスから残響の再構成までをコントルール可能な「V-Remastering」技術と、「ピッチ(音程)」、「タイム(時間、速さ)」、「フォルマント(声質)」を独立してリアルタイムにコントロールする「VariPhrase」技術を組み合わせ、これまでにない自由度の高いオーディオコントロールを実現する

iPad対応バージョン「R-MIX Tab」は、R-MIXの機能限定版。V-Remastering技術による、オーディオからの特定成分の取り出し、マイナスワン再生などを手軽に体験できる。現時点では、R-MIXとR-MIX Tabのデータ互換などについては考慮されていないとのこと。なお、R-MIX Tabについては現在発売時期などは未定