米Googleは9月19日(現地時間)、同社のモバイルペイメントシステム「Google Wallet」の商用展開をスタートしたと発表した。第1弾として「Sprint Nexus S 4G」を持つユーザー全員に対してWalletアプリのOTA (Over The Air)による提供を開始し、これらユーザーはCiti MasterCardのクレジットカードまたは「Google Prepaid Card」を通してWallet対応端末からの決済が可能となる。
今春、Googleならびに、Citi、MasterCard、クレジットカードネットワークのFirst Data、携帯キャリアのSprint Nextelらによって発表されたGoogle Walletは、NFC (Near Field Communications)を使ったモバイル端末による本格的な決済システムであると同時に、Googleによる金融分野への初参入として業界関係者らの注目を集めていた。当初のロードマップは夏ごろをめどにニューヨークやサンフランシスコなどの主要都市で実証実験をスタートし、夏明けをめどに商用サービスを実際にスタートさせるというもので、今回の発表はその延長線上にある。Google Walletは直接の対応リテーラーだけでなく、MasterCardがすでに展開しているPayPass端末を通しても決済可能な点に特徴があり、サービス開始当初から大手小売店が参加を表明するなど、比較的広いエリアでの展開を可能にしている。またクーポン配信サービスとの連携を当初から表明するなど、単純な決済にとどまらないキャンペーン展開も視野に入れている点で注目を集める。
今回、対応端末はNFCに対応したNexus S、キャリアにはSprintという縛りがあるが、今後順次対応端末やキャリアの種類を拡大していくことになるとみられる。ある試算によれば、去年まではわずか数機種程度だったNFC対応端末が、今年は20数機種程度まで増え、来年2012年にはさらに倍以上にまで急拡大することが予測されるという。インプリメントのためのコストと実装面積の拡大という問題があるが、今後普及が見込まれるサービスに先行してNFC標準搭載を進めるメーカーやキャリアは多数登場することになるとみられる。Google Walletはその先駆者的存在となるだろう。