シャープは16日、プラズマクラスター冷蔵庫の新製品発表会を開催した。省エネ機能を進化させて最大で約15%の節電効果や、消費者の"内食"傾向に応える新機能を新たに加えるなど、容量やドアタイプの異なる全7機種を発表した。

「節電と言えば、冷蔵庫の開閉とかユーザー側の努力ばかりが求められるが、製品の側でできる工夫が何かないかと考えました」と新製品の開発コンセプトの1つである省エネ機能の強化について語った、シャープ 健康・環境システム事業本部 副本部長 兼 冷蔵システム事業部長・新 晶氏

新製品の1つ目の改良ポイントは、節電機能の強化。"e-COOL(イークールシステム)"と呼ばれる従来から採用されている独自の省エネ技術をさらに向上。コンプレッサーが回転して擦れ合う部品の摩擦の低減や、冷媒効率を高める機構の最適化などにより約3%の省エネ性能を実現。加えて、放熱ファンや放熱パイプといった放熱構造の改善により、さらに約2%の省エネ化が図られている。

また、新たに"節電モード"を搭載。ドアの開閉や庫内の温度、外気温を感知する3つのセンサーと冷蔵庫の使用状況を分析・管理する人工知能との連動で、コンプレッサーの運転を適切に切り替えるなど、「ユーザーに負担をかけずに、冷蔵庫が効果的に考え自動的に節電してくれる」(健康・環境システム事業本部 副本部長 兼 冷蔵システム事業部長・新氏)機能で、より高い省エネ性能を目指した。

一方、もう1つの改善ポイントとして、昨今の消費者の食に対する志向に着目。野菜をより多く摂取したいと考える"健康志向"と、経済的な理由から家庭内での食事を楽しむ"内食"傾向に応える機能として、"ステンレス・ロック野菜室"と、"おうちでロック製氷"が新たに追加になった。

ステンレス・ロック野菜室は、野菜の鮮度をできるだけ保てるよう設計を新たに改良。ワンタッチ操作で野菜ケースの上部のカバーを開け閉めと、ロックをかけられる"ロックハンドル機構"と呼ばれる部品を追加した"高湿ロック機構"と呼ばれる機能により、野菜室内の密閉性の向上と、冷気の侵入の遮断により、野菜の鮮度低下につながる乾燥を可能な限り抑えた。また、野菜ケースの背面と底面の部材をプラスチックからステンレスプレートを変更。ステンレスにより輻射冷却効果を高め、野菜室内の温度分布の均一化を図り、全体をムラなく冷やせるよう改善された。同社の依頼により、大阪府環境農林水産総合研究所が行った、ホウレンソウの葉先の張り具合の状態の比較では、従来機種では3日目で83.2%まで張りが減少していたのに対して、新製品では6日目でも88.3%と約2倍の鮮度を保てることが実証されたという。

ステンレス・ロック野菜室。庫内の冷気の密閉性を高める"ロックハンドル機構"やステンレスプレートの採用で野菜の鮮度を2倍長持ちさせる

旧機種と新機種の野菜室で保存した、チンゲン菜と春菊の新鮮度を比較したデモンストレーション

おうちでロック製氷は、4種類の氷を作り分けられる自動製氷機能。前機種では、通常製氷と、ロックアイスのような透明度の高い氷が作れる"キラットモード"の2種類のモードだったが、今回それぞれ約2.3倍の大きさの氷が作れるモードが新たに追加されている。

その他最上位モデルの「SJ-GF60W」では、ドア部材に同社の冷蔵庫では初めてのガラス材を採用。ドア前面の操作パネル部分は、触れるとキーが表示されるタッチ式の仕様で、フラットでスッキリしたガラス素材がもつ冷蔵庫のデザイン性を損ねないようインテリアとしての冷蔵庫を意識して企画されている。ガラス材の裏面には鉄板も挟み込まれ、マグネットでメモなどを通常の冷蔵庫と同様にドアに貼り付けることも可能だ。また、下段冷凍室にはLED照明を装備し、庫内を奥まで明るく照らすことで食品が探しやすいよう配慮がなされている。

4種類の氷作りが楽しめる"おうちでロック製氷"の説明パネル

新製氷機能では、製氷皿を2種類用意。通常の約2.3倍の大きさの氷が作れるようになった。水150CCが入ったコップの融解時間を比較した場合、通常モードが約36分、キラットモード(大)の氷は約51分とより長持ちする

通常モード(右)に比べて、"キラットモード"(左)ではより透明度の高い氷が作れる

最上位モデル「SJ-GF60W」の操作パネル。一番左のメニューボタンに触れると、その他のボタンが浮かび上がって表示される

冷蔵室背面のダクト断熱材は"新発泡断熱材"に変更。におい粒子が浸透しにくく、冷気ダクト内のにおいの蓄積を抑える

従来機種では、別々に分けられていた、60℃までの食品の冷凍が可能な"熱いもの冷凍"と約-40℃の冷気で急速冷凍する"低温冷凍"機能は、上段冷凍室に1つにまとめられた

ラインナップは、容量440L~601Lフレンチドア(観音開き)・6ドアタイプ6機種と、440Lの左右両開き・5ドアタイプが1機種。予想実売価格と発売日は以下のとおり。

新機種のラインナップ。容量ごとにそれぞれ異なるカラーバリエーションが用意されている

ドアタイプ 形名 定格内容積 カラー 予想実売価格 発売日
フレンチドア SJ-GF60W 601L ブリリアントブルー/ブリリアントホワイト 35万円前後 11月4日
SJ-XF60W 601L コーラルゴールド/クリアシルバー 30万円前後
SJ-XF56W 560L 28万円前後
SJ-XF52W 515L コーラルゴールド/クリアシルバー/ディープブラウン 25万円前後 10月14日
SJ-XF47W 465L 24万円前後
SJ-XF44W 440L 23万円前後
両開き SJ-XW44W 440L コーラルゴールド/クリアシルバー 22万円前後 11月25日