モトローラ・モビリティ・ジャパンは、同社のホームビジネス事業を紹介する記者説明会を開催し、セットトップボックス(STB)などの事業を解説するとともに、Googleによる同社買収に関してコメントした。米Motorola MobilityのVice President and General Manager, Home Asia PacificのKevin Keefe氏は、Googleによる買収によって「モバイルデバイスとホームビジネスを融合させることで技術革新が期待できる」とアピールする。
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Googleの買収で他社はポジティブなコメント
Motorola Mobilityは、今年1月にMotorola SolutionとMotorola Mobilityの2社に分社化し、日本ではそのさらに5カ月前に分社化して設立された。ホーム事業とモバイル事業はすべてモトローラ・モビリティ・ジャパンに移管された。KDDIなどに提供しているSTBビジネス、CATV事業者向けのケーブルモデム装置、IPTV向けのビデオヘッドエンド機器を扱うホーム事業部と、携帯電話、タブレット端末、Bluetooth機器を扱うモバイルデバイス事業部の2つの事業を担当している。
Keefe氏は、分社化による事業の立ち上げは順調との認識を示す。同社が狙うのは、モバイル、デジタルホーム、モバイルメディア、モバイルインターネットといった領域の「融合」だという。そしてその中心には「Converged Experience(融合した経験)」で、その象徴となるのがタブレット端末だという。同社では、国内ではKDDI向けにタブレット端末の「XOOM」をリリースしており、「ハードそのものは肝ではなく、それを介して提供できるエクスペリエンスを提供すること」(Keefe氏)に力点を置いていると話す。
その上でKeefe氏は、Googleとの統合で、特にこの部分が強化できると指摘。「両社の技術が統合され、さらに大きな飛躍ができる」とアピールする。もちろん、Googleは同社が持つ携帯電話向けなどの「知的財産にも魅力を感じたのは確かだろう」(Keefe氏)。これによってGoogle TVも含めたシナジー効果はあるとKeefe氏は話すが、あくまで「別の会社として存続する」と強調する。
同社の鈴木寛社長は、携帯電話のハードウェアメーカーである同社とソフトウェアメーカーのGoogleの融合で、「新しい技術が生まれる」とコメントする。「Googleがパテントを得るということでAndroidコミュニティを守っていくことが大きな目的の1つ」と述べ、同社自身の競合他社となるAndroid端末メーカーにもすでに個別に説明を行って、いずれも「ポジティブなコメントを得ている」という。
Motorola MobilityのVice President and General Manager, Home Asia Pacific・Kevin Keefe氏 |
モトローラ・モビリティ・ジャパンの鈴木寛社長 |
CATV事業者向け「Cable Wi-Fi」
カナダBelAir Networksの製品を使ったCATV事業者向けのソリューションとして同社が展開しようとしているのが「Cable Wi-Fi」だ。アクセスポイント(AP)となる各種製品を用意し、公衆無線LANなどのサービスが展開できるようになる。
Cable Wi-Fiソリューション。データトラフィックの急増にともなうオフロード対策として、加入者への付加価値としてなど、さまざまなメリットを訴える |
屋内、屋外のAPが用意され、広いカバーエリア、スケーラビリティなどを提供する |
米国や日本の携帯キャリアは、スマートフォンの普及などによって急増するネットワークトラフィックの対処に苦慮しており、米国では定額制の料金プランの見直しが行われるなど、対策が急務になってきている。国内でも、トラフィックのオフロードとして公衆無線LANを活用する例が増加しており、KDDIが2011年中に10万局の無線LANスポットを設置しようとしているなど、「Wi-Fiがひとつの鍵になっている」(ホーム事業部・加藤秀徳事業部長)。
この対策となるのがCable Wi-Fiで、例えば屋外のケーブル懸架型の「CW100SNE」では、IEEE802.11a/b/g/nに対応。2.4GHz帯と5GHz帯をサポートし、DOCSIS/EuroDOCSIS 3.0準拠のモデムや電源を内蔵。ケーブルを接続すれば、屋外の周囲200~300mを無線LANスポット化することができる。