NTTドコモは8日、LTEサービスの「Xi」に対応したAndroid搭載タブレット2機種を発表した。Xi対応タブレットは初めてで、10月上旬から順次発売する。ドコモの山田隆持社長は会見で、「一家に1台ドコモタブレットを置いて欲しい」とアピールした。
2機種のXi対応タブレット
今回発表されたタブレット2機種は、サムスン製の「GALAXY Tab 10.1 LTE SC-01D」と富士通東芝モバイルコミュニケーションズ製の「ARROWS Tab LTE F-01D」。いずれも10.1インチWXGA液晶を搭載したタブレット端末。
GALAXY Tab 10.1 LTEは、1.5GHzデュアルコアCPUを搭載。従来の7インチ液晶を搭載した「GALAXY Tab」と比べて3mmの薄型化を実現。重さも「600gを大きく下回る565g」(山田社長)という軽量ボディで、「片手で持ちやすく操作も簡単」(同)という点が特徴だ。
ARROWS Tab LTEは、IPX5/IPX7の防水性能を備えたタブレット。キッチンや風呂場など、水濡れが心配される場所でも利用できるほか、濡れた手でも操作できるように、タブレットの前で手を振るだけで操作できる「ハンドジェスチャーコントロール機能」を搭載した。「日常生活で利用するには申し分ない防水性能」(同)であり、風呂に入りながらのワンセグ視聴や、キッチンでのレシピ閲覧などといった使い方も可能。なお、CPUには1GHzのデュアルコアCPUを搭載している。
今回の2機種の発表で、ドコモのタブレット製品は既存製品を含めて4機種になった。ドコモではタブレット端末を「ドコモスマートフォン」カテゴリに含めていたが、新たに「ドコモタブレット」カテゴリを新設する。
山田社長は、「(今年度中に)2機種で20万台の販売」を目標としてあげている。現在のドコモの販売目標が80万台であり、スマートフォンの組み合わせで割引が提供される「月々サポートセット割」の登場で売上は「倍増した」(同)と言うが、スマートフォンほどの売上にはなっておらず、20万台は「大きな(目標の)数字」(同)だという。
販売を拡大するため、Huluなどの対応サービスにも注力するほか、Androidタブレット対応アプリなどもサポートする。
山田社長は、「両モデルともほぼ同じ性能」と指摘し、ビジネスユースでも個人ユースにも適していると話す。「強いて言えば、軽量で持ち運びが楽なGALAXY Tab 10.1 LTEが法人向け、防水やワンセグのあるARROWS Tab LTEが個人向け」(同)という位置づけだが、特に両者を区別していないそうだ。
ドコモでは法人向けにタブレット製品の販売をさらに拡大していきたい考えを示しており、「(売上)全体の4割ぐらいは法人としたい」(同)という。法人からはセキュリティの強化を求められているということで、ウイルス対策やその他のセキュリティ対策を継続的に実施して法人ユーザーの獲得につなげたい考えだ。
なお、サムスンのGALAXY Tabシリーズは、アップルから特許侵害の訴訟を提起されており、欧州では一部でアップルの主張が認められ、販売が停止されている。国内でもアップルが提訴しており、それに関して問われた山田社長は「端末販売に支障はないとサムスンから聞いている」とコメントし、「欧州の状況と日本は異なり、注意深く見守っているが、現時点で販売に支障をきたすものではない」と話している。
また、山田社長は今後Xi対応のスマートフォンを投入していく意向を示し、冬春モデルでは4機種を発売すると話した。
新たな料金プランを採用
Xiタブレット発表にあわせ、ドコモでは料金プランも改定する。2年間の利用を前提としたプランを変更し、パケット通信量の上限を1カ月5GBから7GBに増やすとともに、7GBを超えた場合の利用条件も変える。
プランは「Xiデータプランフラット」「Xiデータプラン2」の2種類で、フラットは月額5,985円定額、データプラン2は2,500~6,510円の2段階定額制で、いずれも月間利用量が7GBに達するまで利用できる。さらに来年4月30日まではキャンペーン価格としてそれぞれ上限から1,575円を割り引き、いずれも4,410円、2,500~4,935円で利用できる。
上限の7GBに到達した場合は、通信速度が128kbpsに低下して追加料金がかからないプランと、通信速度は変わらず、利用量2GBごとに2,625円が追加されるプランの2種類から選択できるようになる。7GBの上限は2012年10月1日から実施され、それまでは7GBの通信量を超えても、速度制限や追加課金は行われない。なお、来年10月1日以降、7GBの上限到達の度にプランを選択できるのか、あらかじめプランを選択しておくのかといった運用は、今後検討していくという。
1カ月の上限が5GBから7GBに増やしたことについて、山田社長によれば、5GBまでの利用者が全体の96%で、7GBになると98%がカバーできると話し、大多数のユーザーは7GBで収まるという認識を示す。それを超えて速度低下する場合でも、翌月になれば制限が解除されるため、月末に速度制限されたとしても影響は大きくないという見解だ。また、「128kbpsの速度でもかなりのことができる」と山田社長。
山田社長は、2010年から11年にかけてパケットトラフィックは1.7倍に増えており、最終的には2倍にまで伸びるとみて対策をしているという。そのトラフィック対策としてLTEサービスのXiに注力していきたい考えで、今後3年間で3,000億円規模の投資を行う。3G向けの投資の一部を置き換える形で、全体の投資額7,000億円規模は変更しない、という。
現在、3Gサービス利用者の1%がトラフィック全体の1/3を利用している状況で、このトラフィックをXiにオフロードすることで、3Gサービスの定額制は「できるだけ維持していきたい」(同)考えだ。そのうえで、Xiには段階制の料金プランを採用することでバランスを維持していく意向だ。