9月に入り、そろそろ夏の暑さが和らいできてもいい頃だと思うのですが、一向に猛暑が収まる気配を見せてくれない今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。僕はといえば、夏場の食欲の無さを利用してダイエットを決意したものの、暑さのせいでアイスが手放せないという本末転倒な日々を送っています。

さて、そんな猛暑を少しでも涼しく! ということで、今回は電子貸本サービス「Renta!」で読める「怖い話」をオススメしていこうと思います。いつものように漫画を3作品と、さらにオマケとして小説カテゴリからもご紹介していきますよ。背筋がゾッと凍るようなホラー、ぜひご堪能くださいませ……。

闇夜に遊ぶな子供たち

『闇夜に遊ぶな子供たち』(ぶんか社刊)

今回のイチオシはこれ! 独特の雰囲気を持った一話完結物のホラー漫画で、さらに細かくカテゴライズするなら「オカルト+グロ」といった感じ。舞台は日本ですが、どこか雰囲気が海外チックなのはそれが理由かもしれません。作品全体にただようどんよりとした空気感が秀逸なので、昔ながらのホラーが好きな方にはきっとハマると思います。タイトルが「死体と遊ぶな子供たち」のオマージュであることからもわかる通り、昔のホラー映画へのリスペクトがあちこちに見受けられるのも好きな人にはたまりません。

物語の主人公は、予知能力・透視能力を持ったあどけない少女マコと、優しく賢い兄のトシオ。あるとき二人の従姉が猟奇殺人事件の被害者となり、彼女の死体をマコが透視で発見したことから、警察は半信半疑ながらも二人の力を借りて事件捜査に乗り出します。

再び事件の犯人を透視するマコですが、その力を使って見つけた犯人はマコが"視ている"ことに気づき、逆襲してくるのでした――。

なんといっても兄妹コンビが魅力的! 霊能力はあるけど無邪気でどこか危なっかしいマコと、ごく普通の少年で不思議な力はないけど知識と冷静さでマコを護るトシオという二人は、ホラー漫画の主人公としてはベストバランスで、読者をハラハラさせながらも最後には何だかんだできちんと事件を解決してくれる安心感があります。グロくて残虐な場面も多いのに、どこかふんわりしていて健全な感じがするのは、そんな二人のキャラクターがうまい具合に作用しているのかも。……まあ健全といっても、マコの扱いはなかなかにすごくて、毎回のように嘔吐したりお漏らし(!)したりするわけですが、それもまた見どころの一つということで。

ストーリーは、「悪魔」や「錬金術」といった西洋オカルトをうまく現代日本にマッチさせた感じで、テンポがよく読みやすい。それほどマニアックなネタが出てくるわけではありませんが、作者の西洋オカルトに対する造詣の深さは本物で、そちら方面が好きな方も楽しめるはず。基本的には一話完結ですが、物語全体を通して張られた伏線などもあり、今後の展開が非常に気になる作品です。

Cold apartment

『Cold apartment』(ぶんか社刊)

やや癖のあるポップな絵柄と、対照的にグロテスクな残虐描写が特徴のオムニバスホラー。「Cold apartment」というタイトル通り、アパートを舞台にした物語が7話収録されています。

それぞれの物語は心霊物ではなく人間の怖さをテーマにしており、単に恐ろしいだけでなく切なかったりちょっと不思議だったりと、余韻を残して終わるのがポイント。良い意味で日本の漫画らしくない絵柄と非常にマッチしています。

どの話も現代人の心の闇をうまくつまんで(えぐるほどではないし、だからこそ良い)ホラー・サスペンスへの味付けを施して話を広げた秀作ばかりですが、特に「Nanao&Fuko」は、「そこに切り込んでくるかー」と思わず感心してしまった作品で、作者の"物事をとらえるセンスの良さ"をうかがい知ることができます。

オムニバスホラーとして、最初から最後まで非常に綺麗にまとまったオススメの一冊です。

誰かが殺しにやってくる

『誰かが殺しにやってくる』(コミックターミナル/日本漫画学院刊)

少女漫画タッチの絵柄が良い具合に恐怖感を増幅させてくれるサイコホラー短編集。心霊物、サイコサスペンス、ミステリーなど、様々なジャンルのホラーを詰め込んだバラエティ豊かな一冊です。

中でも表題作にもなった「誰かが殺しにやってくる」は、スタンダードな展開とショッキングな絵でストレートに怖がらせてくる作品で、正統派ホラー漫画を求めている人に特にオススメ。

全体を通して目新しさはないものの、夏の夜の暑さを一瞬忘れさせてくれるレベルの恐怖は味わえると思いますよ。

さて、ここからはRenta!の小説カテゴリからホラー作品を簡単にご紹介しましょう。

今度は落とさないでね -2ちゃんねるの怖い話-

2ちゃんねるのオカルト板に書き込まれた名作オカルト話を厳選してまとめた一冊。2ちゃんねるの怖い話はネットでも何度もまとめサイトでまとめられている人気ジャンルで、本作では比較的昔の書き込みを読むことができます。

怖い話としてはもちろん、書き込みのスラングなどが時代を感じるものだったりして懐かしさも感じられる一冊です。

想師

視点の角度を変える技「旋視」を操り、「想師」と呼ばれる特殊能力者・草薙遼の物語。 この「旋視」をさらにパワーアップさせると、より強力な想念世界から現実に干渉できる「転視」になり、それらの力を使って草薙は敵の想師・九鬼凍刃との宿命の戦いに身を投じていくことになります。

ホラーというよりもオカルト、もしくはファンタジーといった方が近いかもしれませんが、そういったオカルト・バトルが好きな方はぜひ。

キオクシ

最近は謎の施設に閉じ込められて命を賭けたゲームに参加させられる――というソリッドシチュエーションホラーが小説でも映画でも人気ですが、この「キオクシ」もまさにそんな密室ゲーム物。

廃墟で目覚めた主人公「俺」は、なぜか記憶を失っており、そこで同じように過去の記憶を一切なくした人々と出会う。鍛え上げられた体をもつ巨漢のザトウ、秀才タイプのメガネ、繊細そうな美人のオジョウ、そして謎の少女。失われた記憶を求めて、彼らは「キオクシ」と呼ばれるゲームに参加することに――という物語。

『SAW』や『インシテミル』なんかがお好きならどうぞ。

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