エプソンは8月31日、インクジェット複合機「カラリオ」シリーズの新製品となる2011年秋モデルの発表会を開催。イメージキャラクターの役所広司さんがゲストとして登場し、同じくイメージキャラクターの黒木メイサさんはビデオレターでメッセージを送った。新モデルの概要は別記事の『今年は「いたれり、つくせり」- エプソン「カラリオ」2011年秋モデル』を参照いただきたい。

コア技術の"マイクロピエゾテクノロジー"

セイコーエプソン 常務取締役 情報機器事業セグメント担当 羽片忠明

発表会の冒頭では、セイコーエプソン 常務取締役 情報機器事業セグメント担当の羽片忠明氏が、カラリオシリーズのインクジェットプリンタ/複合機のコア技術である「マイクロピエゾテクノロジー」を簡単に紹介。エプソン独自のインクジェット技術であり、熱を使わないのでインクに熱ストレスを与えず、布やプラスチックといった紙以外のさまざまな素材に印刷できる。さらに、セラミック素材で耐久性が高く、電圧によってインクの量や噴射位置を正確にコントロールできるとした。

「今後も独自の技術を磨き上げ、マイクロピエゾテクノロジーをコア技術として、ホーム、ビジネス、商業、産業分野でプリンティングの世界を変えていく」(羽片氏)とまとめた。

マイクロピエゾ方式とサーマル/バブル方式の違い

マイクロピエゾ方式の動作概要

プリントヘッドとノズル

インクに熱をかけないことが特徴

マイクロピエゾ方式によるユーザーメリット

今年のカラリオは「いたれり、つくせり」

セイコーエプソン 業務執行役員 情報画像事業本部長 奥村資紀氏

2011年秋の新モデル

今年のテーマは「いたれり、つくせり」

カラリオシリーズの事業戦略と製品概要を説明したのは、セイコーエプソン 業務執行役員 情報画像事業本部長の奥村資紀氏。新モデルのテーマを「いたれり、つくせり」とし、カラリオのブランドビジョンを示す"カラフルなボール"にキーワードを当てはめ、新しいカラリオが実現する世界を表現して製品を開発したという。「カラリオは暮らしの中で、なくてはならない存在を目指す」(奥村氏)とした。

中心モデルの「EP-804A」シリーズは、ブラック、ホワイト、レッドの3色。特にレッドが目新しい

2011年の中心的な新モデル「EP-804A」シリーズは、ブラック、ホワイト、レッドという3色の本体カラーで展開する。2010年の中心モデル「EP-803」シリーズはブラックとホワイトの2色展開だったが、ホワイトを選んだユーザーの多くが「"ホワイト"が選択のきっかけになった」という。本体カラーについては自分のPCと同じ色にしたいというニーズが高く、ブラックとホワイトに次いで多い「レッド」を採用した。

ユーザーが操作可能なメニュー項目だけを液晶モニタに表示する「先読みガイド」

「うっかり防止アラート」

「印刷前の自動用紙サイズチェック」

無線LANの簡単セットアップ

おもな新機能では、ユーザーの操作をスムーズにナビゲートする「先読みガイド」、コピーやスキャン後に原稿の取り忘れがあると音で知らせる「うっかり防止アラート」、印刷設定と給紙した用紙サイズが異なるときに印刷ミスを防ぐ「印刷前の自動用紙サイズチェック」、より簡単になった無線LANのセットアップなどを紹介した。なお、搭載する各種の機能は、モデルによって異なる。

新しいクラウドサービスと提供時期

また、4つのクラウドサービスも明らかにされた。「メールプリント」はカラリオの複合機が固有のメールアドレスを持ち、そこにメールを送ることでメール本文や添付ファイルを印刷できる。「Epson iPrint」はiOS版とAndroid版のアプリで、アップルの「AirPrint」とGoogleの「Google Cloud Print」もサポートする。ただし、これらは基本的に無線LAN(Wi-Fi)環境で実現されるため、対応するのは「EP-904」シリーズと「EP-804A」シリーズという上位モデルに限られる。

青みを増した黒で高級感を演出

自動電源オフ機能

そのほか、ブラッシュアップした本体デザイン、節電機能、大幅に小型化した4色顔料モデル、コンパクトモデルの「カラリオ ミー」シリーズ、写真愛好家向けの「PX-7V」などが紹介された。

4色顔料モデルの「PX-434A」と「PX-404A」

従来モデルから大幅に小型化

体積比で35%の小型化を実現

内部のわずかな空間を見つけてパーツを詰め込む

 4色顔料モデルの環境性能

「カラリオ ミー」シリーズの上位モデル「E-820」は内蔵素材が大きく増えた

エントリーモデルの「E-350」シリーズはパステル調の3色展開

写真愛好家向けの「PX-7V」はブルーインクを採用し、ポジフィルム風の高彩度な表現を搭載した

目指すシェアは「51%」

エプソン販売 代表取締役社長 平野精一氏

続いて、エプソン販売 代表取締役社長の平野精一氏が、インクジェットプリンタ/複合機の市場概況や2011年末商戦の販売戦略を紹介。まず市場概況では、東日本大震災の影響で前年比マイナスとなったが、2011年7月以降は急速に回復し、2011年度のトータルでは約529万台の市場規模とやや強気の見方を示す。シェア目標は「51%」とし、店頭/Web/ビジネスという各チャンネルで販売展開を強化する。概算では「店頭 : Web : ビジネス」=「7割 : 2割 : 1割」の比率とした。

インクジェット製品の販売実績の推移

2011年度の市場見通し

シェア目標は「51%」

デザインやカラーを重視するユーザーが増加

EP-804Aシリーズの各カラー販売台数でレッドモデルを30%と予測

クラウドサービスによるスマートフォンとの親和性をアピール

スマートフォンの急拡大にも注目し、印刷との親和性を大きなポイントとして挙げる。スマートフォン対応を分かりやすくアピールし、「スマートフォンプリント」のロゴを設定してプロモーションするという。例えば新しいクラウドサービスの「メールプリント」は、女性層をメインターゲットとして訴求する。20~30代の女性層は活用意識と購入意識が高く、子供の写真を離れた場所の両親や友達のプリンタで印刷するなど、具体的なシーンを挙げて訴求するとした。

CM出演は今年も役所広司さんと黒木メイサさん

「カラリオ名誉宣伝部長」に任命された役所広司さんに特大名刺を授与

発表会には役所広司さんが登場し、「カラリオ名誉宣伝部長」に任命。エプソン販売の平野社長より、特大名刺が授与された。役所広司さんのコメントの要旨は以下の通り。

「ただいまカラリオ名誉宣伝部長に就任しました役所広司です。特大の名刺までいただきましてありがとうございます(笑)。カラリオのCMに出演させていただいて今年で3年目を迎えます。毎年毎年、進化したカラリオには驚かされています。今回もカラーバリエーションを追加して、さらに使いやすく生まれ変わったカラリオ、2011年カラリオ、名誉宣伝部長の名に恥じないように、特大名刺に負けないように、伝えていきたいと思います。頑張ります」

新CM「カラリオ」

新CM「カラリオ ミー」

新しいCMも上映され、メイド姿に扮した黒木メイサさんの「いたれり、つくせり」がポイント。機種はEP-804Aシリーズ。もう1本のCMはカラリオ ミーのE-820だ。新しいCMは9月15日から全国でオンエアされる。

黒木メイサさんはビデオレターで登場