米Amazon.comが間もなくAndroidベースのタブレットを正式発表するといわれているが、ある調査会社の試算によれば、このタブレットの販売台数は条件つきながら2011年第4四半期だけで300-500万台の大台を達成する可能性があると指摘する。AppleのiPadが好調な一方で、あまり振るわないといわれるAndroidタブレット市場だが、このキラーデバイスと目されているのがAmazonタブレットだ。

同件に関するレポートを8月29日(米国時間)に発表したのが米Forrester ResearchのアナリストSarah Rotman Epps氏だ。それによれば、iPadが現時点で2870万台を世界で販売し、タブレット市場でほぼ絶対的な存在として君臨している。だがもしAmazon.comがこの市場へと参入し、適切な価格と十分な商品を用意できるのであれば、この販売台数は2011年10-12月の第4四半期だけで300-500万台に達する可能性があるという。これが事実となったとしても、iPadが市場での大勢力である点には変わりないのだが、タブレット市場におけるAndroidのシェアを拡大し、さらに同市場でのAmazon.comの存在を大きくすることにつながるということだ。

事実、現行のAndroidタブレットのほとんどはiPadと同等かそれ以上の価格が設定されており、価格面だけを見ても競争力があると言いがたい。事業撤退表明後にタブレットの「TouchPad」大幅値下げを断行したHewlett-Packard (HP)では、在庫が一瞬で売り切れるといった現象がみられている。さらにキラーとなるコンテンツが不足しており、iPadに対して優位性を提示できていない。これがiPad一人勝ちを招く原因となっていると考えられる。もしAmazon.comが安価な値段設定でタブレットを投入し、さらに同社が提供する膨大な電子書籍や音楽、動画配信サービスなどを組み合わせてそのメリットをアピールすることができれば、iPadに対する不利なイメージも払拭できる可能性がある。Kindleがそうであったように、Amazon.com自身はコンテンツ販売で収支を確保できるため、デバイスをコンテンツ拡販のためのツールとして戦略的な価格で提供が可能だからだ。おそらく、Amazon.comのタブレットは今年のクリスマス商戦最大の目玉の1つとなるだろう。