米Microsoftは今週、ニュージーランドのオークランド(Auckland)で開催されているTechEd New Zealand 2011において、クアッドコアのARMプロセッサを搭載したWindows 8タブレットなどいくつかの新デバイスのプレビューを行っているという。このデバイスは9月に米カリフォルニア州アナハイムで開催予定の「Build Windows」カンファレンスで開発者らに配布が行われる可能性があると、SlashGearが8月25日(米国時間)に報じている。

クアッドコアARM、特にNVIDIAの「Kal-El」プロセッサ(「Tegra 3」になるといわれている)を搭載したタブレットは今年6月に台湾で開催されたパートナーイベントでも紹介されている。この際には「このWindows 8はクアッドコアのKal-El上で動作している」というデモ紹介のみにとどまったが、今回のニュージーランドのTechEdではデバイスそのものの紹介が行われたようだ。このデバイスがKal-Elを搭載しているのかは不明だが、ARMプロセッサの供給ベンダーとしてはこのほかにもQualcommやTIが挙げられており、このいずれかのベンダーのプロセッサが採用されているものとみられる。SlashGearによれば、TechEd参加者であるAlan Burchill氏がこのデバイスの写真をBlogに掲載しており、さらに間もなく開催されるMicrosoftの開発者イベントで来場者に配布される旨を記述しているという。興味深いのは、ARM版Windowsが一般開発者に動作デバイスを含めて公開されるのは初のことであり、ここでWindows 8の解析が一気に進み、概要が明らかにされることになるだろう。

さらに、開発者向けのリファレンスマシンがクアッドコアARMである点も面白いところだ。なぜなら、これまで公開されてきたARM SoCのWindows 8動作デモではデュアルコア以前の世代のものが中心で、クアッドコアについては前述のKal-Elベースのものが初だったからだ。おそらく、2012年後半にWindows 8がリリース際には、ARMマシンについてはクアッドコアベースのものが標準プラットフォームとして用いられる可能性が高い。そう考えられる理由はいくつかあり、まずクアッドコアが標準のARM Cortex-A15を搭載したデバイスの登場時期がこの2012年後半から2013初頭であること、そしてCortex-A15をターゲットに提供されるARMのGPUコア「Mali-T604」ではDirectX 11のサポートが表明されている点が挙げられる。従来のARMアプリケーションプロセッサであれば、DirectX 11サポートをあえて表明する必要性はないわけで、これはWindows 8での利用を想定したものであると考えられるからだ。ゆえにARM版Windows 8のハードウェア要件は現状のスマートフォンやタブレットに比べて、意外と高めの水準となるかもしれない。