米Googleは8月22日(現地時間)、「Google TV add-on for the Android SDK」のプレビュー版の提供を開始した。これはAndroid SDKと合わせて利用するアドオンで、Google TVに最適化されたAndroidアプリの開発が可能になる。Googleによれば、間もなくGoogle TV向けのHoneycombアップデートが提供される予定で、これをターゲットにしたアプリ開発を行うためのツールキットの位置付けになる。
Google TVでのAndroidアプリ環境については、それが初めて発表された昨年2010年のGoogle I/Oでも予告されていたが、実際に発売されたGoogle TVはAndroid OSこそ搭載するものの、Android Marketはおろかサードパーティ向けのアプリ実行環境は提供されず、「後のアップデートで対応する」と発表されたのみだった。ソニーのTVセットやLogitechのSTB型ボックスとしてGoogle TVが発売されてからおよそ1年が経過するが、現在のところ利用できるのはGoogleがプリセットで用意している「Netflix」などの動画プレイヤーなどごく限られている。一方で初期のこれらGoogle TV製品は「UIが洗練されていない」「TV本体にさらにお金を払うのに見合うだけの魅力が少ない」「提供地域が米国などごく一部に限定される」といった理由もあり非常に苦戦が続いており、ソニー自身がGoogle TVでの苦戦を認めているほか、Logitechもボックス型デバイスである「Revue」の販売価格が当初4分の1程度の現在では99ドルで販売されている状態だ。実際、この2社以外でGoogle TVに参入しているメーカーはおらず、どこもその動向に注視している状態だ。
間もなくGoogle TV向けのHoneycombアップデートが提供されれば、こうした状況はある程度改善されるとみられる。まずUIのリフレッシュが行われるほか、これまでAndroidで培ってきたアプリ資産の多くがそのままGoogle TV上で利用できるからだ。この種のプラットフォームで豊富なアプリ実行環境を実現したものはまだなく、Apple TVでは動画再生プレイヤー機能に特化することで本体価格を引き下げて一定の成功を収めた程度だ。ゆえに、HoneycombとAndroid Marketを備えたGoogle TVは価格しだいでは大きな対抗勢力となるだろう。
そのまま既存のスマートフォンやタブレット向けのアプリを導入してもいいが、Google TVでは「TV操作」「TV向けUI」といったように従来のデバイスとは異なる仕様を持っており、アプリによってはこうした仕様に対応すべく最適化を行う必要がある。例えばタッチスクリーン対応アプリの場合、Google TVのAndroid Market上には出現しないとGoogleでは説明している。これらAPIの仕様確認やテストは前述のAndroid SDK向けアドオンでチェックできるほか、Google TVでの動作をチェックするためのエミュレータが提供される。ただし従来のAndroid SDKにあるようなJavaVM上のエミュレータではなく、Linux OS上で動作するKVMでのみ動作する。そのため、KVMの動作していないLinuxや、Windows、Mac OS X上ではテストできない。興味のある開発者は、Google TV Blogのエントリを参考にぜひリンクをチェックしてほしい。