先日、米Hewlett-Packard (HP)が同社PC事業であるPersonal Systems Group (PSG)のスピンオフまたは他社への売却を検討していることが話題になったが、これはPC事業の利益率の低さだけでなく、世界トップを走ってきた米国でのPC需要が振るわないことを示すものであるとの味方がある。調査会社の米IDCが8月23日(現地時間)に発表したデータによれば、2011年第2四半期におけるPCの出荷台数ならびに販売金額で中国が米国を初めて追い越したという。これは地政学的、そしてプラットフォームのトレンドが移り変わりつつある前兆かもしれない。

これはIDCが四半期ベースで発表している世界のPC市場に関する最新データをまとめた「Worldwide Quarterly PC Tracker」の一環として報告されたものだ。それによれば、今年第2四半期における中国のPC出荷台数は1850万台で金額は119億ドル、一方で米国での出荷台数は1770万台で金額は117億ドルだった。これを世界全体のシェアでみると、中国は22%、米国は21%となり、中国が初めて米国を抜いて地域別の世界シェアトップとなった。

だがIDCによれば、少なくとも2011年の間は米国が年間シェアトップの座を維持することになると予測している。同年における米国内での出荷台数は7350万台、中国は7240万台となり、わずかに上回ることになるという。年末商戦にかけて米国での景気要因、さらに中国でのインフレの進展など未確定要素が多数あるものの、おおよそこのトレンドを維持することになるという考えだ。ところが2012年になるとこの状態を抜け、米国での出荷台数は7660万台、中国では8520万台と大幅に上回ることになり、PC分野における世界最大の市場が中国になるのは時間の問題のようだ。これはPCベンダーの動向にも大きな影響を与えることになるとみられ、例えば中国を地場とするLenovoなどが優位になる一方で、残る米国ベンダーの戦略や業績にトレンドの変化となって現れることだろう。

地域 2011年第1四半期 2011年シェア 2012年シェア
中国(PRC) 22.0% 20.3% 21.8%
米国(USA) 21.0% 20.6% 19.6%
その他 57.1% 59.1% 58.5%
合計 100.0% 100.0% 100.0%
2011年第2四半期における中国と米国のPC出荷台数比較