世界中でつくられているパンの種類は5,000とも6,000ともいわれている。そのうち数百種類は日本でも手に入り、海外で修行を積んだパン職人も国内には大勢いる。ここでは、パンの歴史やちょっと意外な情報などを紹介。これを読めば、普段食べているパンを見る目が変わってくるかもしれない。
配合は同じでも形で味は異なる
今回はフランスパンについて。私たちが「フランスパン」といっている、あの棒状のパン。実は、フランスパンといっても何種類もあるのはご存知だろうか。
1つは、フランスの一般家庭でいちばん食べられているという「バゲット」。細長い形をしていて、フランス語で「棒」や「杖」という意味。こちらは外側の皮(クラスト)がバリバリとした食感で、程よい塩気もある。
2つ目は「バタール」。バゲットに比べると短く、太さがある。丸みのある形のため、中身(クラム)が多くなり、しっとりやわらかな食感が楽しめる。
次は「パリジャン」。本来は「パン・パリジャン」という名前のパンで、バゲットより一回り大きく、フランスパンの中では太めで、カットした際の断面が大きくなるのでサンドイッチに向いている。
最後は「フィセル」。聞きなれない名前かもしれないが、こちらはフランス語で「ひも」の意味。フランスではクラストのバリバリとした噛みごたえを好む人が多く、そうした好みに合わせてバゲットよりも細いフィセルがつくられた。
なお、バタールもパリジャンもフィセルも、材料の配合や発酵法はバゲットと同じ。バゲットと同じ生地でつくられていても、形によってその味わいには大きな違いが出るわけだ。
「パンの図鑑」
・著者: 社団法人日本パン技術研究所 所長 井上好文
・定価: 1,659円
・A5判176ページ
・発売日: 2011年04月27日世界中の食卓で愛されているパンのうち、比較的日本でも手に入れやすい113種をフルカラーの写真と詳しい解説文で紹介。材料、発酵・成形・焼成の方法、さらにはおいしい食べ方につくり方まで、奥深いパンの世界を案内する。
また、パンの材料、道具の紹介や、基本のパン作りレシピをはじめ、パン屋さんでどのようにパンがつくられているかを写真で解説。さらに、パンを使ったおしゃれでおいしいアレンジレシピ、パンと飲み物のおいしい関係など、パンをもっと楽しみ味わい尽くすためのアイデアも提案している。