俳優の堺雅人と女優の森迫永依が、終戦記念日にあたる15日、川崎市のワーナー・マイカル・シネマズ新百合ヶ丘で行われた映画『日輪の遺産』のプレミア試写会に出席した。
左から、佐々部清監督、森迫永依、堺雅人、浅田次郎氏 拡大画像を見る |
『日輪の遺産』は、昭和20年の終戦間際に、帝国軍人の真柴少佐(堺)と小泉中尉(福士誠治)、望月曹長(中村獅童)の3人が、軍の上層部から、将軍が奪取した祖国復興のための軍資金である900億円ものマッカーサーの財宝を秘密裡に隠匿せよ、という極秘任務を与えられる。勤労動員として20名の少女たちが、それとは知らず財宝隠しに加担するが、任務終了間際、上層部は彼女たちに非情な命令を下す――というストーリー。原作は、浅田次郎の同名小説。
軍人役に初挑戦した堺は「軍人だからどうこうっていう役づくりはせずに、真柴という人物を意識して演じました」と話し、森迫は「女学生のみんなと、ここはこうなんじゃないか? と話し合いながら撮影をしていました」とそれぞれ撮影を振り返った。森迫は、同年代の女優たちとの共演で、男性陣の誰が好みかも話していたそうで、「中村獅童さんが、クールで無口でかっこいいって人気でした」と告白すると、堺は「現場にいるときから、そうだとは思ってましたが(笑)。今日は、この話を肴にして福士くんに電話します」と隣で苦笑い。すかさず森迫に「堺さんは、いつもやさしくて真面目に取り組んでらっしゃって、尊敬したい先輩です」とフォローされていた。
舞台あいさつには、原作者の浅田氏も出席し、「自分が物心ついた昭和30年代は、戦争の面影がなくて、今と同じくらいの生活だったと思う。焼け野原からわずかな期間で復興した日本人って? と考えてこの作品を書きました。戦争を経験していない世代だけど、何があったかを次世代に送り届けるのは必要だと思っています」と作品への思いを込めた。また、先日、被災地の宮城県石巻市を訪れ、「日輪の遺産」の無料上映会を行ったという佐々部監督は「私も浅田さんと同じく戦争を知らない世代なので、自分が戦争の映画を作っていいのかという葛藤はありました。でも、体験していなくても伝えていかなきゃいけないことはある。公開まで、5年かかりましたが、今の時期に公開できたことは嬉しいです」と熱く語っていた。
映画『日輪の遺産』は、8月27日より角川シネマ有楽町ほかで全国公開。