米Appleは8月8日(現地時間)、「Lion Recovery Disk Assistant」の提供を開始した。これはOS X Lionのリカバリ兼ブート領域である「Recovery HD」をUSB接続HDDなど外部ストレージに作成するためのユーティリティ。「Option」キーを押したまま再起動することで、接続された外部HDDなどからRecovery HDを呼び出せる。故障した内蔵HDDを換装したときなど、内部にRecovery HD領域が存在しない環境でのリカバリに利用できる。
従来のMac OS XはDVDの光学メディアでOS本体が供給されており、これを介してOSの再インストールやTime Machineからのデータ復帰が可能だった。だがLionではディスクレスでのインターネット経由でのOS配布に方式が変更されており、以後のOSリカバリはLionインストールの際にHDD内に不可視パーティションとして作成されるRecovery HDというリカバリ領域を呼び出し、そこで呼び出されるユーティリティ経由で行うようになっている。通常のシステムリストアだけなら問題ないが、これではHDDが物理的に破損して換装した場合などにはRecovery HDが存在しないため対処できない。そこで今回の「Lion Recovery Disk Assistant」の登場となる。
同ツールは通常のLion Recoveryと異なり、外部のストレージ領域内にRecovery HDの不可視パーティションを作成する。Macではシステム起動時に「Option」キーを押したままにしておくことで、内蔵ストレージを含む、USB接続HDDやネットワークドライブなど、接続されたドライブの一覧の中からブートパーティションを選択することが可能だ。これを利用することで外部ストレージ内のRecovery HDを起動し、Lionのリカバリユーティリティを呼び出すことができる。あとはTime Machine上のバックアップデータを指定して、Lionの再インストールを行えばいい。同ユーティリティ利用の注意点としては、すでにRecovery HD領域の存在するLionが動作しているMacであること、またLionがプリインストールされた機種(新型MacBook Airやminiなど)では外部ストレージに作成されたRecovery HDは同システム専用のものになるという点が挙げられる。Mac OS X 10.6 Snow Leopardからアップデートしたマシンにはこの制限はない。
Lion Recovery Disk Assistantの本体サイズは1.07MBで、Appleのサポートページからのダウンロードが可能。またRecovery HDを作成可能な外部ストレージはHDDだけでなく、USBメモリなども含まれるため、つねにMac本体をリカバリ可能な携帯メディアとして持ち運ぶことも可能だ。Recovery HD作成に必要な空きストレージ容量は1GBとなっている。このユーティリティを使ってもしものときに備えておくといいだろう。