──もともと朝は強いほうだったのですか?

別所 : いえ、ぜんぜん(笑)。以前はむしろ夜型でした。セリフを覚えたり原稿を書いたりするのも夜、スポーツするのも夜でしたね。ただ朝の番組をやらせていただくようになって、遅くとも0時には寝たいし、朝は絶対に早起きしなければならない状況になると、どうしても夜の時間が使えなくなってしまう。それで、必要に迫られる形で朝時間を活用するようになったのですが、いざ始めてみると、これが実に有意義なんですよ。

まず「早起きってこんなに気持ちの良いものなのか」と気付くことができた。その日の天候を気にかけながら白んでいく空を見上げたり、次第に目覚め始める朝の街並みを眺めたりすると、たとえば季節の移ろいとか人々の営みが身近に感じられる……そういう何気ない風景から日々の変化を感じ取れる幸福感みたいなものを、すごく意識するようになったんですよね。まあ、もともと低血圧タイプなので4時台に起きて即トップギア、みたいなことはできないんですけど、シャワーを浴びて、ストレッチをして、徐々に身体が温まってくる感覚の心地よさを知ったのも、早起きをするようになってから。1日の始まりである朝を「楽しむ」というか、朝を迎える充実感みたいな感覚を知ることができたのは大きな発見でした。

それに早起きするようになって、1日がとても長くなった。有意義に使える時間が朝にできるわけで、たとえば朝にジョギングやウォーキングをしたり、犬の散歩をしたり、ゆっくりと読書や新聞を読んだりする「早起き好き」な人の気持ちがよくわかるようになりましたね。

──いわゆる「朝活」の話題も番組で取り上げられたりしています

別所 : ええ。これも朝の番組に携わるようになって知ったことですが、朝に勉強をしたり、出会いや交流の場を設定したりする人が非常に多いんです。朝食会で集まって、一緒に勉強をしたり情報交換をしたり……いわゆるパワーブレックファストで有意義に時間を使っていたりする。リスナーの投稿でも、資格試験や語学の勉強をしたり、ヨガのクラスに通っていたりと「朝活」で頑張っている方々の声が寄せられたりして、「世の中にはこんなに朝時間を有効活用している人たちがいるんだな」と痛感した。素晴らしいことだと思います。

──早起きはいいことづくめ、という感じですね

別所 : そうですね。僕は、自分が早起きをするようになって、そう感じました。朝は身体や脳が活動する方向にシフトするタイミングですから、その働きに合わせるようにして朝活に取り組むのは理にかなっているのではないでしょうか。ただ、誤解していただきたくないんですけど、絶対に早起きがオススメ、と強制するようなことではなく、最終的には好みの問題だと思います。夜に知的生産をしたり、ワークアウトで身体を鍛えたり、出会いや交流の場を設定したりするのもアリだし、それで有意義に活動している方もたくさんいらっしゃいますからね。

加えて重要なのは、たとえほんの少しの時間でもいいから、毎日コツコツと続けることだと思います。資格試験でも、語学の勉強でも、ワークアウトでも何でも毎日続ける。最初は5分、10分、15分みたいな短時間でも構わない。しばらくはなかなか変化に気づけないかもしれませんが、半年、1年と続けてみると、たとえ5分とか10分の積み上げでも大きな財産になって、成長している自分に出会えるはずです。

瞬発力の基礎を朝時間に磨く!

別所 : 先ほど「朝の番組は瞬発力が勝負」みたいな話をしましたけど、瞬発力って基礎力がないと発揮できないと思うんです。その場の状況に応じてとっさに対応するには、それを普通に処理できるだけの素地がないと動けない。これは、ビジネス的な業務処理、知的な問いかけへの対応、語学力など、何事にも通じるのではないでしょうか。

そういう基礎力を磨くためにも朝活ってとても有意義だし、毎日コツコツと積み上げているものがある人は強いと思います。これも、朝の番組を毎日続けるなかで気付いた、大きな発見のひとつかもしれません。例えば英語も同じで、最初はとにかく四の五の言わずに英語に触れることが大事。短い時間でもいいから英語を聞き、自分の思っていることを英語にして話す、という練習を続けてみることが重要なのです。

次回は、ハリウッド映画への出演経験も持つ別所さんに英語の勉強方法についても話を聞いた。(次回8月18日掲載予定)

【別所哲也 プロフィール】
慶應義塾大学法学部卒。90年、日米合作映画『クライシス2050』でハリウッドデビュー。米国映画俳優組合(SAG)会員となる。以降、映画・TV・舞台等で幅広く活躍中。2010年4月、第1回岩谷時子奨励賞授賞。99年より、日本発の国際短篇映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル」を主宰。2008年には、横浜みなとみらいに、国内初の映画祭連動型短編専門ブティックシアター、『ブリリア ショートショート シアター』をオープン。また、これまでの映画祭への取り組みから、文化庁長官表彰を受け、観光庁「VISIT JAPAN 大使」、内閣官房知的財産戦略本部コンテンツ強化専門調査会委員に就任。公式ファンサイトはこちら

「J-WAVE TOKYO MORNING RADIO」
毎週月曜~木曜6:00~9:00

ブロードウェイミュージカル「ユーリンタウン」
2011年10月14日(金)~30日(日) 座・高円寺1