ある調査会社の出したタブレット機器における市場シェアのデータが話題になっている。それによれば、2011年第2四半期(4-6月期)におけるタブレット製品のOS別出荷台数はiOS (iPad)が930万台で61.3%のシェアなのに対し、Androidは460万台で30.1%のシェアとなっている。データを読んでなるほどと思う反面、それだけのAndroidタブレットユーザーが本当にいるのかとまわりを見渡して思う人もいるだろう。このデータの信憑性をめぐってさまざまな意見が飛び交っている。

話題の発端は米調査会社のStrategy Analyticsが7月21日(現地時間)に発表したデータだ。前述のように、最新の四半期データにおけるタブレット市場のシェアはiOSとAndroidがほぼ独占状態であり、さらにAndroidが昨年同期に比べて10倍超のシェア躍進を果たしていることになる。Strategy Analyticsのデータは下記のようになる。

タブレットOS別の世界出荷台数 (単位: 百万) Q2 '10 Q2 '11
Apple iOS 3.3 9.3
Android 0.1 4.6
Microsoft 0.0 0.7
QNX 0.0 0.5
Others 0.1 0.1
Total 3.5 15.1
タブレットOSごとの世界出荷台数シェア Q2 '10 Q2 '11
Apple iOS 94.3% 61.3%
Android 2.9% 30.1%
Microsoft 0.0% 4.6%
QNX 0.0% 3.3%
Others 2.9% 0.7%
Total 100.00% 100.0%
年成長率,331%

表に出ているメーカー名とプラットフォームだが、MicrosoftはWindows 7タブレット、QNXはおそらく大部分はResearch In Motion(RIM)のBlackBerry PlayBookのことだと思われる。Strategy AnalyticsはAndroid躍進の理由としてSamsung、Acer、Asus、Motorolaなど多数のベンダーが市場参入しており、これが出荷増につながっているとの見解を示している。

だが、こうした調査結果に疑問を示しているのがDaring Fireballで有名なJohn Gruber氏だ。同氏は21日のBlogの投稿の中で同件に触れており、まずAppleの発表する台数データが「販売数」ベースであるのに対し、Strategy Analyticsのデータは「出荷台数」である点に注意すべきだと指摘している。つまり実際にはユーザーの手にはこれだけの端末が渡っていない可能性があるという話だ。またGoogle CEOのLarry Page氏による「Androidはトータルで1億3500万台のデバイスの中で活用されている」という発言を引用し、これにタブレット向けOSであるAndroid 3.0と3.1 (いわゆる「Honeycomb」)の同OS全体におけるシェアの0.9%という数字を掛けて、概算で135万台(実際は約120万台)しか稼働しておらず、先ほどのStrategy Analyticsの第2四半期におけるAndroidタブレットの出荷台数「460万台」には全然達していないと主張する。このAndroidのバージョン別稼働シェアはGoogleが定期的に更新しているデータで、誰でも最新版を確認できる

もっとも、旧バージョンであるAndroid 2.2や2.3をベースとしたタブレット製品も多数あるためバージョン番号のみでの判別は暴力的なのだが、Gruber氏はさらに別の尺度としてAndroidのスクリーンサイズに注目し、7インチ以上で定義される「Xlarge」のカテゴリでランクされる製品で分類しても、概数に大きな差はないとしている。これをiPadの累計販売台数である2873万台と比較してみるべきだというのが同氏の主張だ。Apple側にバイアスがかかった意見ではあるが、実際に街や周囲で見かけるiPadの割合に対し、Androidタブレットを見かけるケースを考えてみれば、2:1の比率で製品がユーザーに渡っているとは思えないのも確かだ。読者の皆さんは、この2つの意見についてどう考えるだろうか?