突然ですが「ハーレクイン」って知っていますか?

誰でも単語くらいは聞いたことがあるのではないかと思いますが、特に男性で読んだことがあるという方はほとんどいないでしょう。僕もそうでした。

ハーレクインとはカナダに本社を置く出版社で、女性向けの大衆恋愛小説の火付け役として知られています。日本でもハーレクインの翻訳小説は数多く発売されており、多数のファンを抱えた人気ジャンルなのです。

電子貸本サイト「Renta!」では、そんなハーレクインのコミカライズ作品が多数取り扱われており、その数なんと1,500点以上!

もちろん主な読者層は大人の女性なわけですが、今回はあえて僕が男性目線から男性にもお勧めできるハーレクインコミックをご紹介していこうと思います。ハーレクインは僕も今回が初体験なのですが、男性向けラブストーリーとはまた違った面白さがありましたよ。

ミスター・ミリオネア セット

『ミスター・ミリオネア セット』(ハーレクイン刊)

今回のイチオシはこれ! 3人の億万長者たちの恋をオムニバス形式で描くミスター・ミリオネアシリーズを1冊にまとめたお得な作品です。ハーレクインというと女性が主人公で、女性目線から物語を描いていくというイメージが強いのですが、本作はそうではなく、男性側の視点から物語が進んでいくので読みやすい。

……まあ3人の主人公が全員億万長者という時点で、ああやっぱり世界は違うな、という感じなのですが、丁寧な心理描写と魅力的なキャラクターに引っ張られるようにして、ぐいぐいと読み進めてしまいます。

3人が単なる金持ちというわけではなく、それぞれに複雑な過去を背負っており、女性不信に陥っているのがポイント。凝り固まった彼らの考えが、運命の女性との出会いによって少しずつ変わっていく過程を楽しんでください。

ちなみに個人的な好みですが、恋愛物のオムニバスって大好きです。恋愛物ってカップルが結ばれた時点で話が終わることが多いと思いますが、オムニバスだとその後の物語にも出てきたりして、ちゃんと幸せになっている日常を垣間見ることができるんですよね。そうやって"もう主人公ではなくなった前作の主人公"に再会できるのが、オムニバスの醍醐味なんだと思います。

夜は別の顔

『夜は別の顔』(ハーレクイン刊)

昼と夜でまったく違う別人になる――といういわゆる"変身物"はハーレクインではよくあるパターンの一つのようですが、とにかく高い画力と先が気になる構成力で一気に読んでしまいました。

オールドミス(この言い方もあまり見なくなりましたね)を絵に描いたような図書館司書のアメリアは、ある目的から夜になると挑発的な衣装を着てウエイトレスとして働くという秘密の生活を送っています。

ある日、そこでアメリアが出会ったのは町一番の色男・タイラー。アメリアを見たタイラーは、彼女が普段は地味なアメリアだとは気づかずに熱烈にアプローチしてくるのですが……というお話。

ハーレクインというと男性側はアラブの王族だったり御曹司だったり社長だったりするのが王道ですが、このタイラーはごく普通の町の若者。もちろんイケメンで優しくて男気溢れるという女性の理想には違いないのですが、それでも大金持ちではないというだけでグッと親近感が湧いてしまうのは庶民の悲しいサガでしょうか……。

キャラクターは誰もが魅力的で、とくに男性であればタイラーならずとも普段のアメリアと夜のアメリアとのギャップに参ってしまうと思います。謎めいた女性って良いですよね。

物語の方も単に結ばれてハイ終わり、というものではなく、結ばれた後にも様々なトラブルが起こって事態が二転三転し、最後までハラハラさせられるのが面白い。恋愛だけでなく、家族の絆などについても考えさせられる名作です。

花嫁になる条件

『花嫁になる条件』(ハーレクイン刊)

僕がこれまで持っていたハーレクインのイメージ通りの作品がこれ。いわゆるシンデレラストーリーというやつで、映画でいうと「プリティ・ウーマン」を思い出しました。

といってもストーリーはぜんぜん違います。

生活のため、高級アパートメントの掃除人として働くマグダに、「10万ポンド払うから、僕と今すぐ結婚してくれ」と持ちかけてきたのは、裕福な事業家であるラファエッロ・ディ・ヴィシェンティ。正気の沙汰とは思えずきっぱりと断ったマグダでしたが、何だかんだあって結婚するに。そしてその後、ラファエッロの本当の狙いが明らかになって――。

キャラクターが立っていて、ストーリーもわかりやすく、これぞハーレクインだなという感じ。マグダがとにかく素晴らしい女性で、彼女に影響されるようにラファエッロや周囲の人々は少しずつ変わっていきます。ハーレクインというとどうしても大富豪だとかそういう大仰な設定が多いため、つい男の側に目が行ってしまうのですが、実は主人公である女性の方がはるかに人間として魅力的なことが多いんですね。男性視点としては、むしろそういった"女性が描く魅力的な女性"に惹かれながら読み進めてしまいました。

……ということで、女性向けではあるものの、男性が読んでも魅力的な作品も多いハーレクイン。世界の女性が夢見る恋愛物語の世界を、Renta!でのぞいてみませんか?

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