7月21日(米国時間)、米Microsoftは同社会計年度で2011年第4四半期(4-6月期)決算を発表した。同四半期の売上は173億6,700万ドルで前年同期比8%のアップ、純利益は58億7,400万ドルで30%のアップだった。先週のレポート記事にもあるように、ほとんどの事業部で増収増益を達成したものの、唯一Windows部門のみが減収減益となった点に注目が集まっている。コンシューマPC市場の不調という要因もさることながら、同社のWindows OS自体のシェアが減少しているのではないかという指摘もある。

PC出荷台数の伸びとWindows 7ライセンス数の伸びが一致しない

この話題を提起しているのはInfoWorldだ。米Microsoftは2009年秋のWindows 7ローンチ以来、同OSの四半期セールス状況を逐次報告している。しかしInfoWorldによれば、発表されるWindows 7のライセンス数と調査会社が発表するPCの販売台数(出荷台数)には開きがあり、その差が徐々に大きくなっているというのだ。

例えばMicrosoftは2011年4月の四半期決算発表でWindows 7の累計ライセンス数を3億5,000万を超える水準と話しており、7月の決算発表では4億を突破したと報告している。つまり、今四半期の3カ月で約5,000万ライセンスが増加していることになる。一方、米Gartnerが7月13日に発表した最新の世界のPC販売調査報告によれば、同期間のPC出荷台数は8,522万台で、前年同期比2.3%のアップとなっている。PC出荷台数は調査会社がまとめた推計値ということ、また販売数と出荷台数という違いこそあるものの、両者の間は数にして3,500万、割合にして40%近い開きがある。このPC販売の4割にあたるマシンは、Windows 7以外のOSを搭載しているということになる。

以上を踏まえて、Windows 7がリリースされた2009年10-12月期の決算報告から、Windows 7のライセンス数と世界のPC出荷台数の相関関係をまとめたのが先ほどのInfoWorldのレポートだ。同誌のレポートではPC出荷台数からあらかじめMacの販売台数を差し引いており、そのうえでWindows 7のライセンス数とPC出荷台数の関係をグラフにまとめている。どちらも四半期ベースの報告で、Windows 7のライセンス数は完全に正確な値ではないが、PC出荷台数の伸びほどにWindows 7のライセンス数が伸びていないことがわかるだろう。

この差は何を意味するのか?

問題はこのデータから何を読み解くかだ。考えられることの1つは、Windowsユーザーが、最新のWindows 7ではなく旧バージョンを導入するケースがいまだ存在している可能性。そしてもう1つはWindows以外のOSの導入だ。例えば企業ネットワークなどでは旧Windowsの利用が続いており、Windows 7導入を検討中またはテスト中という企業が多数ある。この影響は考えられるだろう。またLinuxなどのOSを導入した場合も、Windows 7のライセンス数は増加しない。こうしたOSを企業システムなどで活用する組織が増えているという可能性も考えられる。

InfoWorldではこのほかに、米国でのPC出荷台数が5.6%の減少を見せているのに対し、中国では10.9%の大幅な伸びを見せていることを紹介している。台数ベースでも米国の1,690万台に対し、欧州を含むEMEA(欧州・中東・アフリカ)地域で2,310万台、そしてアジア太平洋地域では3,050万台の販売台数を記録しており、途上国でのPC販売が先進国での減少分を補っているという構図になっている。こうした地域ではWindowsの正規のライセンスを取得しないケースも散見され、こうした地域でのPC販売の伸びがMicrosoftのWindowsライセンスビジネスの阻害要因になっていると予想している。この予想が的中しているかどうかは不明だが、少し興味深い話だ。