落語家で上方落語協会会長を務める桂三枝が16日、都内で会見を開き、来年の7月16日に六代目・桂文枝を襲名すると発表した。

「六代目桂文枝」襲名発表会見に出席した桂三枝(中央)と弟弟子の桂きん枝(右)、桂文珍(左) 拡大画像を見る

桂文枝は、江戸時代末期から明治時代にかけて活躍した初代から受け継がれている由緒ある名跡で、会見に出席した三枝は「文枝という名前はあまりにも大きいですし、三枝という名前にも愛着を持っているので、襲名については大いに悩みました」と心境を告白。「五代目までは直系の弟子が継いできたということと、他の一門の人が継いだら申し訳ないという気持ちがあり、自分の歩む道はこれしかないと決心しました」と話し、「今は堂々と何の曇りもなく、来年の襲名を迎えたいと思います」と決意を表明した。

2年前に「文枝を襲名するのでは」という一部報道をきっかけに「襲名を考えるようになった」という三枝。以来、周囲に相談することなく「慎重に向き合ってきた」が、唯一相談した相手が立川談志で、「談志師匠には入院先の病院でお会いしてお話しましたが、『せっかく三枝という名を大きくしたんだから、三枝の名で噺家を続けるべき』と言われました」と反対されたという。その後、共通の知人である毒蝮三太夫を通じて襲名を決意したことを談志に報告。すると談志からFAXが届いたといい、「人生なりゆき。三枝より文枝のほうがよくなったのか。じゃあしょうがない、勝手にしろ。三枝のバカヤロウ」と談志からのメッセージを、うっすら涙を浮かべながら紹介した。

この日は、弟弟子の桂きん枝と桂文珍も出席。文珍は「上方落語の灯をLEDに変えられる人。一丸となって支えていきたい」、きん枝も「これほど嬉しいことはないです。"未曾有の襲名"にしたい」とそれぞれが兄弟子を祝った。また、三枝が文枝の名跡を継ぐことで三枝の名が空くことから、文珍が「私が襲名します(笑)」と宣言して笑わせると、三枝が「200%ありません(笑)」と返すなど、笑いの絶えない会見となった。

きん枝のあいさつ中、感極まった様子を見せた三枝

会見には吉本興業の吉野伊佐男会長(中央)と大崎洋社長(左)も出席。2人を前にして三枝は「襲名披露興行については、社長からは『いくらでも金をかけて予算を組む』と言われております』」と話して大崎社長を苦笑させた

六代目襲名披露興行は、2012年7月12日に大阪・「なんばグランド花月」で行われるのを皮切りに、全国5都市のほか海外でも行われ、東京と大阪で披露パーティーも開かれる予定となっている。