ワコムとゲッティ イメージズ ジャパンは都内にて、フォトレタッチセミナー「写真を撮ったアトに知らないと損する10の常識」を開催した。セミナーでは、ゲッティ イメージズ ジャパンでアートディレクターを務める小林正明氏の講演「写真を撮ったら発表してみよう:日本発、世界行きのコンテスト、Click!リアルジャパン」と「求められる写真とは」が行われた。

ストックフォト1枚で家が建った

セミナー冒頭で小林氏は「1枚の写真でフォトグラファーの人生が変わった」という写真を紹介した。この写真は、フォトグラファー Gandee Vasan氏が撮影した金魚の写真で、世界中で最も長い期間売れ続けているといわれるストックフォトだ。彼がこの1枚で手にした金額は、「家が一軒建つほど」だという。

小林氏は、この写真につけられたキーワードを紹介した。登録されているワードは、「動き、強さ、自由、決意、水中、動物、ジャンプ、引っ越し、逃げる」など。小林氏によると、売れる秘訣はココにあるそうだ。ニュースや報道で使われる写真は、「どこに何が写っているか」が重要になる。しかし広告で使われる写真で大事なのは、「写っているものの向こう側にあるメッセージ」なのだと小林氏は語る。小林氏によると、この写真を撮ったVasan氏は、「先にキーワードを考え、そこから撮影する写真のアイデアを練っている」とのこと。

Gandee Vasan氏が撮影した金魚の写真。写真の側右に表示されているのが、この写真につけられたキーワード

続いて小林氏は、これまでに販売数の多かった写真や、大規模な広告に使われた写真を何枚か紹介した。小林氏は「売れている写真の大部分は前向きなメッセージを含んでいるように思える。人々は、そういったポジティブな写真を見たがっているのだと思う」と分析した。

TOSHIBAとT-Mobileの広告に使われた写真。T-Mobileでは、左右反転で使用されたとのこと

日本の写真も世界で使われている。これは東京のストリートパフォーマーを写した写真。IBMのWebサイトで使われた例

シティバンクのWebのトップイメージに採用された写真

この写真のモデルは小林氏自身。プロのモデルを使った撮影会の最中に、あるフォトグラファーから「ついでに撮影させてくれ」と依頼されたそうだ

一軒家の写真は持ち主であれば販売可能。「家を持っている人は撮影すべきだ」と小林氏は語る

このような建物の風景写真(スカイライン)も、よく売れる。都市の姿はビル建設などによって変化し続けるので、最新の写真ほど売れるとのこと