米MicrosoftのWindows Phone部門プレジデントのAndrew Lees氏 |
昨今はスマートフォンブームだ。日本においてもNTTドコモがラインナップの主軸をスマートフォンに置き始めたように、確実にトレンドの移り変わりが起きつつある。一方でスマートフォンは依然として高価であり、価格が普及の阻害要因になっている側面はないだろうか? もし今後、デバイスの製造コストが劇的に下がり、ユーザーがより安価に端末を入手できるようになれば、こうしたトレンドを後押しすることになるかもしれない。いまMicrosoftは、スマートフォン市場でのステップアップにこうしたトレンドを利用しようとしているメーカーの1つだといえるだろう。
先週、Microsoftは米カリフォルニア州ロサンゼルスでWorldwide Partner Conference (WPC)という名称のパートナー会議を開催している。TG Dailyなどによれば、同社はこのWPCにおいてWindows Phone 7普及におけるいくつか重要な指針や戦略について説明を行っている。
米MicrosoftのWindows Phone部門プレジデントのAndrew Lees氏は自身のキーノートスピーチのなかで、今後起こりつつある新しいデバイストレンドについて解説している。1つは次世代の「Windows 8」で、これは従来までPCサイズのデバイスが要求されたソフトウェアが、SoC (System on Chip)と呼ばれるシングルチップ上に機能が統合される形で提供が可能になるという技術上の進化の話だ。そしてもう1つは、シングルチップへと機能統合が行われる過程で大幅なコストダウンが可能になるという。例えば、昨年まで工場出荷時のスマートフォンの製造コストが400ドルだったものが、現在では200ドル程度にまで落ちている。これが来年以降になれば100-150ドルのレンジまで落ちることになり、同クラスの端末がより安価に利用できることになる。同氏のスピーチ内容はMicrosoftの公式サイトのトランスクリプト上で確認できる。
この話はもちろん、Windows Phone 7デバイスのことも含んでいる。現在、Windows Phone 7はデバイスのバリエーションが少なく、ラインナップがハイエンド端末に偏っている。そのため、定価ベースで600~700ドル、2年契約時の価格で200~300ドル程度と、競合製品と比べても価格競争力があるとは言い難い。現在では発売から半年以上が経過したため、さすがに当初の販売価格よりは落ちてきているが、それでも比較的高いレンジにあることは間違いない。もしLees氏のいうように今後さらに製造コストが下がっていくのであれば、定価ベースでも300~400ドル程度、キャリアが販売する2年縛りがベースのものであれば無料端末も多数提供されることになるだろう。「ユーザーが満足できるレベルのエクスペリエンス提供」を理由に去年時点としてはハイエンドに設定されていたハードウェアの仕様だが、今後は製造コスト減少とともにより現実的な価格レンジで製品が登場し、普及に弾みがつくことになるかもしれない。