ソフィアモバイルは12日、NTTドコモの回線を借り受けてモバイルIP通信サービス「エスモビ」を提供すると発表した。スマートフォンに専用アプリを内蔵し、IP電話サービスで国内宛1分6円、海外宛1分3円(いずれも最安の場合)の格安通話を実現する。月額料金は2年利用を前提として4,200円。
エスモビは、ドコモのMVNO(仮想移動体通信事業者)としてレイヤー3接続で回線を借り受けてデータ通信サービスを提供し、フュージョン・コミュニケーションズの「FUSION IP-Phone」網で音声サービスを行う。フュージョンのIP電話サービスを利用するため、端末には050番号が付与され、下り最大7.2Mbpsのパケット通信を使った音声通話が可能になる。
提供される端末は中国ファーウェイのAndroid搭載スマートフォン「IDEOS X5」で、独自のIP電話アプリを搭載。これを起動することで050番号による発着信が可能になる。独自の音声コーデックを採用し、オーバーヘッドを小さくするなどして音声パケットの帯域を減らしたことで、不安定な3Gのパケット通信環境下でも安定した高音質のIP電話を実現した、という。
SIPサーバーは、グループ会社のソフィア総合研究所のデータセンター内に設置。ソフィア総研は動画配信などの事業を行っているためバックボーンに余裕があり、グループ企業内の施設を利用することでコストも削減した。また、海外の回線事業者と直接接続することで、海外宛の通信料金も削減した。
その結果、国内固定電話宛の通話料は1分6円から、国内携帯電話あては1分17円から、国際電話は米国、中国、韓国、英国、仏国、カナダ宛は1分3円からという低価格を実現した。エスモビ利用者同士の通話料は24時間無料だ。
料金プランは、2年利用を前提とした「エスモビ・ベーシックプラン」が月額4,200円。基本料金、インターネット接続料、パケット定額料などが含まれ、2年以内の解約には違約金9,975円が必要となる。1カ月単位で自由に解約できる「エスモビ・フリープラン」もあり、含まれるサービスは同等で月額5,960円。違約金を含めても、「6カ月以上利用するならベーシックプランの方が得」(ソフィアモバイル代表取締役社長・志村明彦氏)だという。
企業向けにエスモビ端末を内線子機として利用できる機能も提供し、企業や部門の代表番号を使った発着信ができる。外出先でも代表番号への電話を受信できるほか、ソトからでも内線宛に無料の通話も可能。電話の保留・転送機能も備えており、受信した電話を別の子機や携帯電話に転送することもできる。海外でも、現地のSIMカードや無線LANを使うことで、無料の内線通話も利用できる。
オプションとして、月額315円の故障時安心サポート、月額105円のWeb通話明細サービス、無料の留守番電話サービス、1番号に付き月額105円で3ケタの内線番号付与サービスも提供する。
オプションサービス |
同社が吟味した法人向けアプリや個人向けのアプリ、法人向けにカスタマイズしたアプリなどを紹介するエスモビマーケット・プレイスサービスも提供。同社グループのソフィアデジタルが販売する6チャンネル同時録画可能なワンセグレコーダー用のビューワーアプリは、通常1,200円で販売されているが、エスモビ利用者にはプリインストールして提供する |
このほか、月額料金には無線LANサービスのクラストが提供する公衆無線LANサービス「エコネクト Wi-Fi」の利用料金も含まれており、同サービスエリアでは無料で無線LANサービスを利用できる。エコネクトでは、BBモバイルポイント、livedoor Wirelessが提供する全国約6,500カ所に加え、NTT東西のフレッツ・スポットを合わせた合計約15,600カ所の無線LANスポットで無料でサービスを利用できる。エコネクトでは、月額380円の公衆無線LANサービスにカーボンオフセット3kg分が含まれており、「エスモビを利用するだけで地球温暖化防止に貢献できる」(クラスト代表取締役社長・笹田亮氏)という。
提供される「IDEOS X5」は、OSにAndroid 2.2(Froyo)、CPUにMSM7230 800MHz、メモリはROM 4GB/RAM 512MBを搭載。ディスプレイは3.8型WVGA(800×480)、カメラは500万画素で、エスモビ・ベーシックプラン申込時は月額1,300円の割賦、または29,800円の一括払いが可能。それ以外での販売代金は39,800円だ。
IDEOS X5はSIMロックフリーになっており、海外で現地SIMカードを利用できるほか、テザリングもサポートしており、月額料金内でのテザリング利用が可能だ。
7月13日からはビックカメラ有楽町店、同社のエスモビショップ1号店(東京・新宿)、同社直販サイトでの予約が行われ、販売開始は7月下旬から。一部携帯販売店での取り扱いも行われる。同社では法人を中心に初年度1万回線の販売を見込み、「次年度はその2~3倍を目標に進めていきたい」(志村社長)という。
同社では、基本機能に加えてIP-PBXとの連携機能を備えるなどサービスを充実させ、同様のモバイルIP電話サービスに対しても低価格を実現したとしており、販売代理店の拡充、海外IP電話サービスとの提携を目指し、さらにサービスを強化していきたい考えだ。