Apple初のオンライン広告事業参入として話題を呼び、広告単価の最小単位が100万ドルという破格の値付けで鳴り物入りの登場を果たした「iAd」サービスだが、より多くの広告主を呼び寄せるため、この最低広告単価が30万ドルへと値下げされている。iAdの値下げは今回で2回目となり、iAdがローンチされた昨年2010年7月から1年で半額以下となった。米Bloombergなどが7月7日(現地時間)に伝えている

最低出稿単価が100万ドル、さらにシティグループや日産などiAdのローンチパートナーとなった広告主はさらにその10倍の1,000万ドル以上を広告費として投じたことが知られるiAdサービスだが、広告効果の高さやApple自身の利益率の高さで称賛の声がある一方で、その値段の高さが早い段階で普及の障害になることは以前より指摘されてきた。そうした経緯もあり、今年初めには同価格を半分の50万ドルへと値下げしたことが米Advertising Age (AdAge)などによって伝えられており、さらに今回の変更で4割引きの30万ドルとなったことになる。

高価格戦略が難しかったという評価がある一方、好意的に解釈すればFill Rateを上昇させるために値下げで広告主の裾野を拡大するという戦略の柔軟化が進んだともいえる。今後は値下げの状況をみながら、さらなる値下げを模索するといった戦略を打ち出す可能性もある。とはいえ、iAd初期のローンチ時点でGoogleなどのライバルと比較して広告単価が10~20倍以上高いと指摘されていただけに、まだまだ値下げの余地はあるといえる。今後は、iAdならではの特徴やメリットをより全面に押しだし、顧客満足度の高さをアピールして差別化する必要が出てくるだろう。