旧富士吉田駅から改名した富士急行「富士山駅」で1日、誕生記念セレモニーと誕生記念臨時列車出発式が行われた。
改名を機に、同社の「富士登山電車」や下吉田駅などのデザインを手がけた水戸岡鋭治氏の全面的サポートの下、駅ビルのリニューアルも行われた。
新たなシンボルとなる朱塗りの大鳥居は、富士山の神が祀られ、富士山吉田口登山道の入口にあたる北口本宮富士浅間神社にちなんだもの。駅ビル屋上には、美しい富士山を眺められる「屋上展望広場」も設置された。
ホームや待合室も整備された。随所に木目調の素材を採用するなど、ここでも水戸岡氏の個性が光るデザインに。地下1階にはフードコートが設置されており、郷土料理の吉田のうどんをはじめ、ほうとう、富士宮焼きそば、さらに新名物の「ふじやまたいやき」も楽しめる。
駅前広場で行われた誕生記念セレモニーには、富士急行の代表取締役社長、堀内光一郎氏をはじめ、リニューアルを手がけた水戸岡氏、富士山清掃活動でも知られるアルピニストの野口健氏らが出席した。
「(リニューアルの)お話を受けた段階では、この駅をどう変えればいいか、非常に迷いました」と明かした水戸岡氏。「しかし浅間神社の鳥居を見て、『すごい。これは美しい』と思い、これを駅に取り込むしかないだろうと感じたのです」と、大鳥居をデザインした経緯を語った。
堀内氏も富士山駅のデザインを、「懐かしさの中に新しさもある秀麗なデザイン。私たちの誇りとするところです」と絶賛した。
近年、富士登山が脚光を浴びていること、富士山の世界文化遺産登録への取り組みが進んでいることにも触れ、「あらためて富士山信仰の原点に立ち返り、富士山駅を富士登山のゲートウェイに位置づけたい」と述べた。
さらに堀内氏が、「富士吉田は浅間神社や金鳥居など、観光資源が多くあります。富士山駅のスタートを機に、これらの観光資源を磨き上げ、富士山北麓の観光振興を図りたい」と話すと、水戸岡氏も、「日本一の富士山を持つ富士吉田の町が、少し元気がないように見えます。図々しいかもしれないが、(市街地の)中央通りをリニューアルするなら、ぜひ私にお願いしてほしい。あの門前町が一変するだけで、全国から人が集まる豊かで楽しい町になるような気がします」とコメント。新たな仕事をみずから提案する場面もあった。
富士山駅の誕生を記念し、2日にはJR三鷹駅から富士山駅までの臨時列車「こんにちは富士山号」も運転される。また、新たなオリジナルグッズ「富士山駅誕生記念乗車券」も登場した。富士山~寿間の乗車券と、富士山~都留文科大学前間の乗車券をセットにした硬券セットで、価格は900円。「富士山」にちなみ、2,230組限定での販売となっている。