7月1日、電気事業法第27条に基づいた企業等の大口需要家向けの電気の使用制限が開始された。小口需要家においては自主的な「節電行動計画」の策定・公表、また一般家庭に対しては「15%の節電」に取り組むことが求められている。読者のみなさんもすでに職場や家庭で節電に取り組んでいることと思われるが、「15%」「28度」とは、一体どのような根拠で決められた数字なのだろうか。経済産業省資源エネルギー庁省エネルギー対策課で話を聞いた。

「15%削減」ってどれくらい?

「15%削減」とは具体的にどのくらいの量なのだろうか。まずは基準となる数値を見てみよう。計算の基となっているのは想定需要量(昨年の最大使用量)と東京電力の供給力見通しだ。これによると、昨年と同じように電気を使用するとピーク時間帯における供給量が約10%強足りなくなるという計算になる。

想定需要と供給見通し表

東京電力管内 東北電力管内
想定需要(抑制基準) 6,000万kW 1,480万kW
供給力見通し(融通後) 5,380万kW 1,370万kW
必要な需要抑制率 -10.3% -7.4%

さらに、この供給力見通しは震災で被害を受けたり、老朽化した火力発電所などを復旧・運転させたりすることを見込んだものであるため、ある程度余裕を持たせておくことが望ましいとされた。そこで、全体の電力使用量を想定需要量から15%削減することが目標として掲げられたという経緯だ。

7月~9月の平日は電力需要が最も大きくなる。特に9時~20時の節電が必要だ

問題となるのは使用量のピークが最大供給力に迫る時間帯。同庁ではこの時間帯の電力需要のうち約3割を家庭が占めており、平均的な消費電力は在宅世帯で約1200w、非在宅世帯で約340wと算出。これを基に平均的な家庭における消費電力を約15%削減するためにまとめたのが、同庁の提示する「家庭の節電対策メニュー」だ。

家庭で取り組む対策を具体的にまとめた「家庭の節電対策メニュー」

「エアコンの設定温度を2℃上げることで削減率10%」という数値は、在宅家庭の消費電力1200Wに対する割合、ということになる。実際の削減比率は各家庭の電力使用状況によっても異なってくるが、わかりやすい目安として参考にしよう。

なお、どうしても供給力の不足が予想される場合、計画停電が実施されることとなっている。「原則として不実施」としているが、万が一実施せざるを得ない場合には緊急時のセーフティネットとして発動。ただし、1回の停電時間を2時間程度とするなど運用面での改善を図り、影響をできるだけ緩和することが盛り込まれている。……つづきを読む