人気が出た漫画がアニメ化されるのは昔からの定番コースですが、近年とみに増えてきているのが"実写映画(ドラマ)化"です。去年一年間だけでも映画化された人気漫画は数知れず……ハイリスク故に失敗できない映画業界の事情がひしひしと伝わってくるようです。
そんな大人の話はさておき、電子貸本サービス「Renta!」では、そうした映像化作品の原作漫画が多数取りそろえられており、中には「え、これも!?」と驚くような作品もあったりします。
今回は映像化、特に"実写化"された作品に注目して、個人的なオススメをご紹介していこうと思います。
うさぎドロップ
三十路の会社員・ダイキチと、祖父の隠し子である6歳の少女・りんの同居生活を描いた心温まるなごみ系コミック。
最近は僕も疲れているのか、こうしたほのぼの作品がやたらと心に染みてくるようになりました……。
といっても別になごむだけの漫画ではなくて、なかなか心を開いてくれない6歳児との交流や、保育園や小学校の手続き、机やランドセル選びなど、子育てする上で避けては通れないリアルなエピソードが満載。しかしダイキチはつい昨日まで気楽な一人暮らしだったわけですから、当然何もかもが初めてで毎日のように頭を悩ませることになります。
そんなダイキチに共感しながら将来の子育てをシミュレートするもよし、あるいはすでに子育てをされている方なら、「こういうことあったなあ」と思い出しながら読むもよし。疲れていても寝る前にさらっと読めてしまうゆるいノリとテンポの良さが魅力です。
また、基本的にはくすっと笑ったり、ほのぼのしたりする漫画なのですが、たまにスパイス的に挿入されるちょっとシリアスなエピソードも面白い。
たとえば、りんはダイキチの祖父の隠し子ですが、じゃあ母親はいったい誰なのかとか、そもそも今何をしているのかとか、そういったりん自身についての秘密が徐々に明らかになっていくわけです。
そうやって少しずつ真実が見えてくるにつれて、次第に深まっていく二人の絆をじっくりと噛みしめてほしいと思います。
星守る犬
こちらも最近映画化が決定して話題になっている作品。もう「星守る犬」というタイトルからして泣ける雰囲気がぷんぷん漂っていますが、むしろ僕が本作で推したいのはロードムービーのような何とも言えない雰囲気です。
作品冒頭――朽ち果てた車の中で寄り添うように死んでいた一人の男性と一匹の犬。男性は死後1年。しかし犬は死後3ヶ月。この時間差は何を意味しているのか。そしてなぜ一人と一匹は死んだのか。
この二つの死の真相を明らかにすべく、物語はそこから10年ほど前に遡ります。男性にまだ家族がいて、そして犬もいて、みんなで一緒に仲良く暮らしていた頃へ。
しかし、様々な要因が重なり、男性はある日ひとりぼっちになってしまいます。
同じく取り残された飼い犬と共に、荷物を車に積み込み、故郷を目指して南下する男性。その道中で、彼らは様々な人に出会い、様々な体験をしていくことになります。
もちろん彼らがどんな結末を迎えるかは最初に提示されているわけで、いうなればそれは死へ向かう旅路でもあるわけです。このあたりの構成が非常に上手い。
最初はまったくもって意味不明だった一人と一匹の死。ですが読み終わる頃には、きっと皆さんの心の中に何かを残していってくれるはずです。
だめんず・うぉ~か~
一転して、とにかく笑えるエッセイコミックをご紹介しましょう。
倉田真由美、通称"くらたま"が描く、世の女性たちの爆笑恋愛失敗談。SPA!で連載中であり、過去に二度ドラマ化されたのでご存じの方も多いでしょう。
基本的には作者であるくらたまと担当編集のともりんが、一般から応募されたネタをもとに本人に取材するという流れになっており、たまに準レギュラーとして他媒体でくらたまを担当する女好き編集者「ブルース」や、女流雀士の「ヨーコ会長」も登場。
貧乏、虚言癖、DV、浮気など、世にはびこる"ダメ男"ばかりをなぜか渡り歩いてしまう女性(だめんず・うぉ~か~)の爆笑エピソードをバシバシとぶった切っていきます。
特に個人的に大好きなのは、先ほども名前が出た鬼畜編集者のブルース。彼の女性に対する何かに取り憑かれたかのような情熱には、ドン引きしながらも思わず笑ってしまい、もっと登場してくれないかなーと密かに期待しています。
それにしても、現在Renta!には本作が8巻まで入荷しているわけですが、世の中ってこんなにダメ男と、それに引っかかってしまう女性が多いものなんですね……。
と、他人事みたいに言っている僕ですが、読んでいてたまに胸に突き刺さる話があるってことは、端から見れば立派な"だめんず"なのかもしれませんけどね!
ということでほのぼの系から感動物、爆笑エッセイまで、多彩なジャンルがそろっているRenta!映像化作品コーナー。映画やドラマで興味を持った方は、ぜひ原作の方でもお楽しみください。