ここ最近、モバイルペイメントに関する業界各社の動きが活発化しているが、米国でまた同分野でのブレイクを狙う新しいベンチャーが名乗りを挙げている。この企業の名前はNaratteで、シリコンバレーを拠点にしている。同社のZooshと呼ばれる技術はNFC (Near Field Communications)に似た携帯端末同士、あるいはPOSのようなターミナルマシンと携帯端末での暗号化通信を実現する。その最大の違いは、NFCが専用チップを用いた無線通信なのに対し、Zooshは既存のマイクとスピーカーを用いた超音波による通信を行う点にある。

同件についてはWall Street Journalが報じている。Zooshの面白いところは、可聴域にない音波を用いた端末間通信を実現している点だ。これにより、対向となる端末同士が専用チップの搭載を要求されるNFCに比べ、既存のほとんどの端末でZooshを利用できるというメリットがある。これにより、すでに大量に流通しているPOSターミナル端末のNFC対応アップグレードコストが100-850ドル程度なのに対し、Zooshであれば30ドル程度で済むという。また音波通信自体にも暗号化が行われており、比較的安全であること。可聴域ではなく、超音波で指向性が強いために安全性が保たれやすいというメリットがあるようだ。

またNaratteは今年4月にロイヤリティプログラムやギフトカードの処理業務を行う米SparkBaseとの提携を発表しており、端末同士の情報交換やPOSでの金融トランザクションだけでなく、各種ロイヤリティプログラムを組み合わせたサービスの提供が可能であることも前面に押し出している。アイデア勝負の世界だが、盛り上がってきている様子がみられて面白い。