家庭や勤務先の構内、あるいはカフェや駅のホットスポットなど、ネットワーク接続にWi-Fiを日々利用しているユーザーは多いことだろう。米Merakiによれば、こうしたWi-Fiネットワークを利用するデバイスごとのシェアでは、2010年から2011年にかけてiPhoneなどのモバイル系デバイスがPC系デバイスのそれを逆転し、最大勢力になったという。

MerakiはWi-Fiやクラウドに関するネットワークソリューションを提供する企業で、同社によれば現在、世界規模で1万7,000のネットワークを管理し、その直下に4,000万台以上のユニークデバイス数を抱えているという。FortuneのApple 2.0 Blogを執筆するPhilip Elmer-Dewitt氏によれば、MITのような大学キャンパスネットワークから、StarbucksやBurger Kingなどに設置される一般向けのホットスポットまで、さまざまなネットワークを管理して、匿名のサンプリング抽出による調査を行っているようだ。なおMerakiは、サンフランシスコ市が市全体のWi-Fiホットスポット化計画を断念した後も、独自の手法で市域のホットスポット化を行ってきた経緯がある。

興味深いのはこのMerakiが公開した最新のWi-Fiネットワーク調査報告で、iPad、iPhone、Androidなど各モバイルデバイスの数を合計した割合が、2010年には33%だったのに対して2011年には58%と過半数を占めるようになり、PCのデバイス数を逆転している。これはPCのデバイス数が急に減ったわけではなく、それだけモバイルデバイスを利用するユーザーが急増しているのだと考えるのが自然だろう。また驚異的なのはiOSデバイスを利用するユーザーの割合で、iPad/iPhone/iPod touchの3つのデバイスを合計したシ2011年のシェアは47%に達し、これだけで全体の約半分となっている。先ほどのElmer-Dewitt氏が記事のタイトルを「47% of the devices on Burger King's Wi-Fi networks run iOS (バーガーキングのWi-Fiネットワーク上で動作するデバイスの47%がiOS)」とインパクトあるものにしていたのが印象深い。

2010年および2011年の、Wi-Fiネットワークを利用するデバイスのシェア推移(出典: Meraki)

また、もう1つ注目したいのが、デバイスごとのデータ量だ。例えばiPhoneやAndroidなどスマートフォン系デバイスの月あたりのネットワーク経由のデータ量が40MB程度なのに対し、iPadでは200MBと5倍近い開きがある。見るコンテンツの差もあるとはいえ、2011年のシェア調査でiPhoneの32%に対してiPadが4%と8倍近い開きがあるのにもかかわらず、データ量ではiPadだけでiPhone全体のおよそ3分の2に相当する。これは、両デバイスの利用形態の違いを知るうえで興味深いデータだ。

モバイルデバイスにおける月のデータ量の差異。iPadはそれ以外のスマートフォンのおよそ5倍と大きな開きがある(出典: Meraki)