Nexus One、Nexus Sと2世代にわたってリリースされてきたGoogleのスマートフォン「Nexus」シリーズだが、その3世代目にあたる製品に関する情報が出始めている。Boy Genius Report(BGR)では、この製品の名称が「Nexus 4G」となり、その名の通り第4世代のLTE技術を搭載したスマートフォンになる可能性が高いとレポートしている 。また2011年後半登場が見込まれるAndroid 4.0 (Ice Cream Sandwich)を搭載し、デュアルコアプロセッサや720p表示が可能なHDディスプレイを搭載したハイエンドマシンになるという。

BGRの今回の報道ソースは不明だが、同サイトは過去にも同種のリーク情報を掲載した経緯があるため、ある程度は信頼の置けるソースである可能性が高い。さらに情報を並べると、プロセッサには1.2GHzまたは1.5GHz駆動のデュアルコアのものが採用される見込みで、BGRではOMAP 4460かKrait世代のSnapdragonである可能性が高いという。KraitはSnapdragonの第4世代にあたるプロセッサシリーズで、28nm製造プロセスを採用するほか、動作クロックで1.7GHzまで、最大4つのコア数にまで対応するという。事前に各所でレポートのあったNVIDIAのKal-El (4コアプロセッサで「Tegra 3」になるといわれている)ではないという。またディスプレイは720pのHD表示に対応した「モンスターサイズ」のものになる見込みで、本体正面には「メニューボタン」といった物理ボタンが搭載されていないという。もしこれが本当なら、Android 4.0の標準実装としてソフトウェアのメニューキーが搭載されるということになる。

そのほかのスペックは4G LTEネットワーク対応、1GBメモリに、1080pのHD動画撮影と再生が可能な5メガピクセルのリアカメラと、1メガピクセルのフロントカメラを搭載するという。この5メガピクセルカメラは暗部撮影での感度も良好なようだ。問題はLTE対応という部分だが、BGRによれば米AT&TのLTEネットワークに対応する初のモデルの1つとしてNexus 4Gが登場することになるという。米国ではAT&TのほかにVerizon WirelessがすでにLTEネットワークを全米展開しているが、AT&Tではこれに遅れる形で2011年末にも都市部を中心にLTEサービスを開始する意向だとしている。この情報を総合すれば、Nexus 4Gリリースのターゲット時期は今年末の11-12月ごろになり、「毎年年末年始ごろ」という過去のNexusシリーズとほぼ同じリリースサイクルを維持することになる。

このNexusシリーズが持つ意味は「Googleのリリースする携帯」というだけでなく、「Android端末におけるリファレンスモデル」という役割がある。今回の場合、Android 4.0 "Ice Cream Sandwich"を搭載する初のスマートフォンということになり、これまで分裂していた2.x系と3.x系の2つの系統が統合された初のOSとなる。リファレンスモデルでは、OSアップデートがどのAndroid端末よりも早く提供されるほか、各種最新アプリやサービスもまたこのリファレンスモデルをターゲットに開発されることになるため、「最新サービス/アプリを誰よりも早く試したい」というユーザーに適した製品となる。またNexusシリーズは開発者向けのリファレンスモデルという側面もあり、今後1年はこの端末のスペックがAndroidのハイエンドクラス端末の標準となるだろう。

なお、今回のBGRのレポートでは端末の製造メーカーとNFC対応については記述がない。過去にはNexus OneがHTC、Nexus SはSamsungが開発と製造を請け負ってきた。次の製品もこの2社が持ち回りで開発……といったことも考えられるが、Android 3.0 "Honeycomb"ではMotorolaのXoomがリファレンス製品として扱われたりと、必ずしもこの2社とは限らない。実際にはHoneycombタブレットでローンチメンバーだったLGを加えた、4社のいずれかが製造を担当するというのが妥当な線だろう。またNFC対応については、Googleが「Google Payment」というモバイルペイメントサービスを今夏に開始するなど強くプッシュしている経緯もあり、必須機能として取り込まれる可能性が高い。いずれにせよ、続報を楽しみにしたいところだ。