--プリンティング・アンド・ソリューションズ事業では何が成長のポイントになりますか?

三島 ひとつは、SOHO、SMB(中小企業)市場において、プリントボリュームの高い領域からコーポレート市場に至るまでのビジネスセグメントに向けた販売強化、カラー/モノクロレーザーおよびインクジェットにおいて、より高度なプリンティングニーズにあった競争力の高い製品を投入し、販売拡大を図ります。

日本においては、ビジネスプリンタの販路拡大が最重点課題になると考えています。量販店やWeb販売におけるレーザープリンタの販売数量では、2年連続でナンバーワンシェアを獲得するなど、それなりのプレゼンスを確立できたと考えています。しかし、SOHO市場全体において、ビジネスプリンタナンバーワンの位置が確立できているかというとそうでもない。

当社の調査によると、国内のSOHO事業者のうち、1人の事業所では、明らかにトップグループの中にいます。しかし、これはSOHO事業者のうちわずかな構成比であり、2~5人の事業所が半分を占める。この2~5人の事業所になると、ブラザーのシェアが落ちてくる。また、6~9人の事業所になると、当社が弱い訪問販売系ルートでの販売数量も増えますから、さらにシェアが落ちる。

別の見方をしますと、量販店・Webを通じた販売構成比率は、レーザープリンタ市場全体の25%程度しかない。残りの75%の訪問販売系市場においては、ブラザーはむしろ「弱い」立場でしかない。これは今後ビジネスプリンタ事業を成長させる上では致命的な部分でもあり、言い方を変えれば、伸びしろがある部分ともいえます。ここに積極的に打っていく必要があります。

今回、ブラザーでは、新たなブランドとして「ジャスティオ プロ」シリーズを用意し、3機種を投入します。これは、SOHOの中でも従業員数が多い6~9人、さらにはSMBまでを視野に入れた製品であり、訪問販売系ディーラーに積極的に扱っていただくような製品となります。ジャスティオシリーズがプル型ビジネスとすれば、ジャスティオ プロはプッシュ型ビジネスの製品と位置づけられます。

「ジャスティオ プロ」のハイエンドモデルという位置づけ

ジャスティオ プロシリーズの「HL-4570CDWT」

ジャスティオ プロシリーズの「MFC-9970CDW」

--製品カタログでも、ジャスティオにはイメージキャラクターの松下奈緒さんの写真を使用していますが、ジャスティオ プロの製品カタログでは、製品写真だけですね。ここでもプルとプッシュの差がわかります。

三島 ジャスティオのユーザー層はイニシャルコストを重視する傾向が強いですが、5人以上のSOHOや、SMB市場では、信頼性やサービスといった点が重視されます。高速プリントや自動両面スキャン、大容量給紙といった高性能の追求とともに、A4カラーレーザープリンタ「HL-4570CDWT」と、A4カラーレーザー複合機「MFC-9970CDW」には5年間の無料保証サービスを用意しています。また、インクジェット方式のA3カラー複合機「MFC-J6910CDW」にも、3年間の無料保証サービスを用意することで、プリントボリュームが多い小規模事業所でも安心して利用していただくことができる製品にしています。

5月17日の記者発表に登場したイメージキャラクターの松下奈緒さん

ジャスティオ プロのレーザープリンタは、自社開発のエンジンを搭載し、高い信頼性を発揮できる。その点でも安心をお届けすることができる製品だといえます。今後1年間の販売目標は1万台。そして、この製品は、日本での成果をもとに、グローバル展開へとつなげていくことになります。