NPO法人のCANVASは6月12日、Windows 7搭載のタブレットPCとインターネットを活用し、最新のデジタル技術で「できること」を小学校の授業風に体験するワークショップ「エイサーきっずday」を開催。協賛として日本エイサーと日本マイクロソフトが加わり、日本エイサーはタブレットPC「ICONIA TAB W500」を提供、日本マイクロソフトの本社ビル(東京都品川)のセミナールームが会場となった。
エイサーきっずdayには、抽選で選ばれた小学4年生~6年生の親子ペア16組(午前の部と午後の部で8組ずつ)が参加。150組以上の応募から選ばれた幸運な親子ペアだ。ここでは午前の部の模様をお伝えしよう。
ワークショップの内容は、Windows 7 Home Premium 32bit版を搭載した日本エイサーの10.1型タブレットPC「ICONIA TAB W500」とインターネットを使い、近未来の小学校の授業を一足先に体験するというもの。ICONIA TAB W500はWindows 7のマルチタッチ機能に対応しており、タッチ操作でスムーズに操作できるタブレットPCだ。詳しくは別記事「日本エイサー、AMD FusionとWindows 7を搭載した10.1型タブレットPC」を参照いただきたい。
講師を務めたのは、グラフィックデザイナーやアニメーターとして活躍するビジュアルプロデューサーの季里(きり)氏。さらに、日直や補助教員(?)として日本マイクロソフトのスタッフが脇を固め、親子ペアの1組ずつ、ICONIA TAB W500とWindows 7の操作を丁寧にフォローしていた。
ICONIA TAB W500とWindows 7の使い方をひとしきり練習したあと、1時間目の開始。耳慣れた"キ~ンコ~ンカ~ンコ~ン"のチャイムが鳴り、日直さんから起立、気をつけ、礼の号令が。「お父さん、お母さんには懐かしいでしょう。きちんと礼をしてくださいね」(日直)。
1時間目 : 図工
1時間目は図工の「ぐるぐるヘン顔コマ撮りアニメ」だ。ICONIA TAB W500の内蔵カメラで自分たちの顔やポーズを変えながら1コマずつ撮影し、最後にアニメーションとして再生する。はじめに講師の季里氏が手順と作例を解説し、各グループが作業を開始。会場には多くの変装グッズや小道具が用意され、それぞれの親子が思い思いの撮影を楽しんだ。
各グループのテーブルの床には8方向のマーキングテープが貼られており、テープの向きに沿ってモデル役が身体の向きを変えながら、1コマずつ撮影する。一通り撮影して再生すると、モデル役がぐるぐると回るアニメーションが完成するというわけだ。最後に各グループの発表となったが、かなり自然な動きのアニメーションになっているシーンも多く、感心と驚きの声が上がった。
2時間目 : 社会
続く2時間目は社会の「インターネットで世界旅行」だ。各親子ペアがくじ(国カード)を引き、そこに書かれた世界各国の人口、通貨単位、言語を、ICONIA TAB W500でインターネットにアクセスして調べる。また、目的地(ギリシアのパルテノン神殿など)の写真をプリントアウトして、国カードに貼り付けて提出。各親子ペアが提出した国カードは、プロジェクタで投影された世界の白地図にテープで貼り、簡単なレポートが完成した。
1時間目と同様、最初に季里氏が手順を解説。Internet Explorerの起動、検索エンジン「Bing」の使い方、タッチ操作による文字入力、Bing地図で概観図を表示して印刷など、改めて言葉にすると意外に作業量が多い。PCに慣れた人なら、どれも簡単で淀みなく進められる内容だが、小学生たちはそれなりに苦戦。それでも、日本マイクロソフトのスタッフや両親の助けを借りながら、全員が国カードをきちんと仕上げていた。
3時間目 : 国語
最後の3時間目は国語の「かんじをかんじてつくる」だ。漢字は実在する"物"の形状が変化してできあがったものや(「山」や「川」は有名だろう)、関連する部首の組み合わせになっているもの(魚の名前の漢字には「魚」偏が付くなど)が多く、それにならって架空の漢字を作ってみようという内容。小学生たちがお題目のシートを引き、そこに書かれた"言葉"の漢字を作る。Windows 7の標準アプリケーション「ペイント」やごく普通のコピー用紙で自由に考え、ペイントで描いた漢字の画像データを、プレゼンテーションソフトのPowerPointに用意された漢字シートに貼り付けて発表する。
小学生たちが取り組んだお題目は、チョーク、けしごむ、ゲーム、ランドセル、おもちゃ、たからばこ、ズボン、ハンバーグだ。読者の皆さんなら、これらの言葉を表すどんな架空の漢字を創作するだろうか。ついつい当て字で考えてしまうかもしれないが、やはり発想力と頭の柔らかさでは、大人は小学生にかなわない。周りの大人たちも感心していたが、1つお断りしておくと、あくまでレクリエーションの一環と考えていただきたいと思う。以下に、すばらしい"漢字"を紹介しておきたい。
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ワークショップを終えて保護者に感想をうかがったところ、タブレットPCを使った授業には、おおむね賛成で好意的な声が多かった。良質な学習アプリケーションの充実や、子供たちがゲームなどにのめり込み過ぎないようにする工夫、セキュリティ面、タブレットPCの破損対策といった、クリアすべきさまざまな課題はあるものの、教材としてのタブレットPCは大きな可能性を持っている。なにしろ、子供たちが操作を覚えるスピードと集中力には舌を巻く。うまく活用すれば高い学習効果が望めるだろう。いつか、ランドセルの中はタブレットPCと食器セットだけ、という時代になるのかもしれない。