士郎正宗氏の人気コミック「アップルシード」の映像作品としては初の、全13話 (=サーティーン)からなる完全新作アニメシリーズ『APPLESEED XIII (アップルシード サーティーン)』。ネット配信やBlu-ray/DDVとしてもリリースされる本作だが、すべての展開に先駆けて、まずは「劇場リミックス版」が期間限定平日レイトショーとして、東京・大阪・名古屋にて公開される。
劇場リミックス版は、シリーズ前半の映像をリミックスして劇場用に特別制作された「遺言篇」と後半の映像をリミックスした「予言篇」の2本が公開される予定となっているが、今回は東京・大阪にて6月13日より(名古屋は27日より)期間限定で公開される前編『APPLESEED XIII ~遺言~』の試写会にて浜名孝行監督とシリーズ構成の藤咲淳一氏が語ったメッセージを紹介しよう。
浜名監督と藤咲氏が語る『APPLESEED XIII ~遺言~』
試写会の舞台挨拶に登壇した浜名孝行監督と藤咲淳一氏は、「一昨年からずっと作り続けて、終わらないんじゃないかなというぐらいけっこう大変だったのですが、こうして大きな劇場で試写をすることができてうれしく思っています」(浜名監督)、「(劇場リミックス版は)今日初めて見るので、僕もすごく楽しみです。音も良いらしいので、それも楽しみにしています」(藤咲氏)とまずは来場者に挨拶。今回の舞台挨拶は、事前に寄せられた質問に両者が答える形で進められた。
――13話構成と劇場版前後編との兼ね合いで、話の展開上苦労したことはありますか?
藤咲氏「13話という構成にしたところが実は一番大変で、とにかく最初に話をもらったときは、正直なところ、どこから手をつけてよいのかわからない状態でした。そこに、あるところから天の声、『映画を作るぞ』っていう声が降りてきまして(笑)。その天の声も、最初は(劇場版)3本と言われたのですが、それはやっぱりムリで、『2本にしてください』とお願いして、ようやく僕の中でもプランが見えてきた感じです。実際、劇場版にするとき、どの話をどのように繋ぐかというところは、監督にご尽力いただくしかないと思ったので、そのあたりの苦労は監督に聞いていただくのが一番いいかなと思います」
浜名監督「シリーズ構成が出たときも、劇場でどの話を使おうという話はしていたので、ざっくりと決めていた話数はあるのですが、実際に取り掛かってみると、そう上手くはいかなくて(笑)。ただ、シリーズを全部、13本作った後での劇場の作業だったので、逆に俯瞰して全部を見られた分、劇場版に関しては、違うアップルシードができたのではないかと思っています。シリーズもすごく楽しめると思いますし、劇場もまたちがった感じのアップルシードになっていると思いますので、いろいろな形で見てもらいたいですね」
――登場人物のキャラクターが魅力的な作品だと思いますが、特に気に入っている、思い入れのあるキャラはいますか?
藤咲氏「レギュラーには全員、けっこう思い入れがあるのですが、どちらかというサブキャラのほうがオリジナルなので思い入れが強い感じですね、僕の場合は。その中でも今日のお話(『APPLESEED XIII~遺言~』)にも出てくるチョイ役の兄弟がいるのですが、その子たちにはけっこう気持ちが入っていますね。ただ、キャラよりもデカいオリジナルのメカなども作ることができたので、そちらにもちょっと思い入れがあります」
浜名監督「ブリアレオスとデュナンはやはり主人公なので、すごく思い入れがありますが、『APPLESEED XIII』には"ディア"という新キャラがいます。(『APPLESEED XIII』では)みんなそれぞれに思惑があって、いろいろな感情で動いている、群像劇みたいな要素があるのですが、ディアはあまり語らないキャラクターで、特に前半は語らないのですが、何かを持っているということを考えながら作ったキャラなので、そのあたりは作っていても楽しかったです」
――デュナンとブリアレオスのどんな動き、仕草、表情にこだわりましたか?
浜名監督「今回はCGのスタッフに注文以上に頑張っていただいて、細部に関して本当にCGチームにおまかせ状態なので、スタッフに思う存分やっていただいた、いろいろなデュナンやいろいろなブリアレオスの表情を、皆さんに見てもらって楽しんでもらえるといいかなって思っています」
――「XIII (13)」という数字がついていますが、「13」という数字にこだわった理由は?
藤咲氏「『13』にこだわりがあるかどうかと言われたら、あるようなないような……でも『12』にはこだわりがあるかもしれないです。ただ、シリーズ全部を見ていただけると、『13なんだ』と思える答え、仕掛けは用意しています。劇場版でも、前編の『遺言』と後編の『予言』、この2つを見ると味が変わって見える、そんな仕掛けになっていて、そのあたりは、やはり『12』とか『13』という数字に引っ掛かっているところもあります」
――最後にメッセージをお願いします
藤咲氏「『アップルシード』は、新作がなかなか原作のほうでは発表されないままきていますが、今回はオリジナルストーリーとはいえ、パラレルと言いますか、地続きのお話に携われてすごくうれしいです。ネットなどでも映像が流れますので、それを広めていただいて、みんなで盛り上げていけたらいいなと思います」
浜名監督「わりと秘密めいた話が散りばめられていて、それを映画だけでは完結できなくて、シリーズがあるという感じなので、クエスチョンの部分や、『これはどうなっているんだろう』みたいな部分は、シリーズを見てもらえると、逆にストンといったりもするのですが、劇場は劇場で、それなりにやっていますので(笑)、両方を観てもらえると『APPLESEED』の良さがなおわかってもらえるのではないかと思っています」
劇場リミックス版『APPLESEED XIII~遺言~』は、2011年6月13日より東京・新宿ピカデリー、大阪・なんばパークスシネマにて特別上映開始。名古屋・ミッドランドスクエアシネマでは6月27日よりの公開となる。なお、上映期間中、上映館ではBlu-ray第1巻【劇場限定版】が発売されるので、こちらも注目しておきたい。
(C)2011 士郎正宗/青心社・「アップルシード XIII」製作委員会 |