夏場に心配される電力不足に備え、様々な企業が夏期休暇の長期化を発表している。企業によっては9月以降の祝日を振り替えることで、2週間以上の休暇を取得させるところもある。

これに合わせて各旅行会社も、これまでのような駆け足で各地を回る周遊型ではなく、1カ所にじっくり滞在するタイプのロングステイプランを既に発売している。理由はともかくとして、今年の夏は欧米のような長期滞在型のバカンススタイルが普及するきっかけの年になるかもしれない。そこでここでは、長期休暇にぴったりの宿泊スタイルで、欧米で人気が高まっている「バケーションレンタル」を紹介していく。

著者紹介

トリップアドバイザー 広報 三橋竜二
新聞記者、雑誌編集者を経て、フリーのトラベルライターに。アジアや太平洋の島々を中心に旅行雑誌やガイドブックなどで執筆。
2009年より、トリップアドバイザーで広報を担当。旅の楽しさを伝えるために、日々データと格闘中。夢は「イースター島に行くこと」。

バケーションレンタルって何?

バケーションレンタルとは、日本語でいえば「貸別荘」のことです。ただ日本語の"別荘"という言葉からイメージするような、森の中のログハウスやビーチ沿いのヴィラといった豪華な別荘だけでなく、郊外の住宅地にある一般民家やマンションの一室まで、幅広い選択肢があるのが大きな特徴です。料金も1ベッドルームで1泊あたり$50程度の格安物件から6ベッドルームもあるようなゴージャスな別荘まで様々です。

海を望むプール付きの豪華なヴィラから一般的な住宅まで、バケーションレンタルの選択肢は多彩

バケーションレンタルが欧米で普及している理由の1つは、日本と比べて別荘を所有するハードルが低い点。また投機的な価値も望めることから、住み替えの際に住んでいた古い家を継続して所有したり、お気に入りの場所にセカンドハウスを購入したりする人も多く、自分が使っていない期間の維持費などを捻出するために、旅行者に貸し出すというのが一般化しているのです。バケーションレンタルは、これらの個人所有の住宅を一時的に借りる宿泊スタイルのことで、企業が所有する貸別荘やコンドミニアムと違い、個人所有の住宅をオーナーから直接、もしくは専門のオペレーション会社から借りる契約形態となります。

メリットとデメリット

最大のメリットはやはり料金です。ホテルなどの宿泊施設利用に比べ、同様の条件なら割安の部屋を、同様の予算なら格段に広い部屋や条件のいい部屋を見つけることができます。一軒家タイプのバケーションレンタルなら、複数のベッドルームがある物件がほとんどで、数人のグループでシェアすればかなり費用を抑えることが可能です。例えば夫婦と子供2人+どちらかの両親の6人でハワイに5泊した場合、ホテルでの滞在なら2室利用で平均$2,080に対して、バケーションレンタルなら6ベッドの施設の平均が$1,580とおよそ25%、$500の節約になります。

一方デメリットとしては、ホテルで受けられるようなサービス(送迎やルームキーピングなど)は望めないことや、最低宿泊日数(3~4泊が一般的)が決められているケースがあること、クリーニング費用が泊数に関係なく一回の滞在に対してかかるため、短期の滞在には向いていない点が挙げられます。

次回はトリップアドバイザーに投稿されている実際の口コミから、メリットの高い旅行スタイルの実例を紹介していきます。