Androidにおける問題は、OSやハードウェアそのものよりも、その上で動作するアプリやアプリストアのエコシステムにあるという意見がある。Android立ち上げ期からのサポーターである端末ベンダーの1社は、パフォーマンスや動作に問題のあるアプリの数々が原因で、Android全体に対する心象を悪くしていると訴えている。
こうした非難を行っているのは米Motorola MobilityのCEOであるSanjay Jha氏で、米ニューヨークで6月2日(現地時間)に開催されたBank of America Merrill Lynch Global Technology Conferenceにおいて上記のような発言を行っている。同件を報じているPCWorldによれば、返品されたAndroid端末のうち、70%の理由がアプリケーションのパフォーマンス問題に起因するとJha氏が訴えているという。AppleのApp Storeなどとは異なり、GoogleのアプリストアであるAndroid Marketは実質無審査であり、マルウェアや海賊版ソフトウェアがそのまま登録されている事例が過去に多数報告されるなど、ある意味で無法地帯となっている。そのため、アプリの品質やその内容のチェック機構は存在せず、個々の利用の判断はユーザー自身の手に委ねられているのが現状だ。Jha氏は「電力消費やプロセッサの利用面で、これらアプリは検査が行われておらず、その影響がどの程度なのかを調べようとしている段階だ」とコメントしている。
とはいえ、こうした状況をただ待っているだけなのは得策ではない。Jha氏はMotorola流の解決策として「MOTOBLUR」というアプリを活用していることを紹介する。MOTOBLURとはMotorolaのスマートフォンファミリーに標準搭載されたアプリの1つで、Twitterなど各種ソーシャル機能を備えたホームスクリーンを備え、個々にアプリを起動する必要がないメリットがある。またセキュリティ機能と各アプリの電力消費量を監視し、端末保護と効率的なパワーマネジメントを実現する役割も持つ。つまり、前述のようなマルウェアやパフォーマンス最適化が行われていないサードパーティアプリの問題を解決する仕組みを標準で実装するわけだ。この部分だけを切り出せばMotorola製品の宣伝ということになるが、一方で現状のAndroidが抱える問題を浮き彫りにし、各ベンダーやキャリアが対策のためにセキュリティと電源管理機能を標準実装して端末保護に努めるべきであるというトレンドが存在することを示している。また実力あるサードパーティにとっては、Androidのユーティリティやサービス市場でシェアを拡大する好機なのかもしれない。