2011年6月11日にリリースされる林原めぐみのベストアルバム「VINTAGE White」だが、発売に先駆けて、林原めぐみの公式サイトでは、新曲「Heart bridge」のPV映像を公開中。PV映像の中では、林原めぐみのこれまでの活動におけるLIVE映像や写真が散りばめられているシーンも登場する。
また、アルバムの発売日である6月11日には、自身がパーソナリティを務めるラジオ「林原めぐみのTokyo Boogie Night」の放送1000回突破記念公開録音が東京・中野サンプラザにて開催される。本イベントには、観覧希望の当選者のみが参加できるが、当日会場前ではオリジナルグッズやCD商品の販売のほか、チャリティイベントとして献血車の稼働や募金活動なども催される。それぞれの催し事には特典物のプレゼントも数量限定で用意されるとのこと。詳細については林原めぐみの公式サイトをチェックしてほしい。
林原めぐみのメッセージを紹介
――前作BEST盤の「VINTAGE S」「VINTAGE A」から約10年ぶりとなる今回のBEST盤ですが、このタイミングでBEST盤のリリースを決めた経緯などがあれば教えてください
林原めぐみ ちょうど、ラジオ「Tokyo Boogie Night」が放送1000回を迎える記念に「何か…」というのが、きっかけですね。ラジオ関西を中心に放送している兄弟番組の「Heartful Station」の1000回突破記念には、一緒にパーソナリティーを務めている保志総一朗君とのデュエットCDをリリースしまして…、そこで「ラジオ」という媒体への私の思いは放出してしまったので、もう1000回記念のシングル! という形はないかな…と。
前回ベストをつくってから10年近くたっているので、そろそろありかな?なんて、結構ぼんやりした中での発案だったんですけど、気がつけば歌ってから20周年らしくて、それもひっかけちゃえ! みたいな感じです。
よくもまあ、こんな行き当たりばったりな「何かないかな」「どうする?」「じゃあ」みたいな流れで、ここまで歌って来れましたね。ファンのみなさん、本当にこんな私を応援してくれてありがとう。しみじみ…。
――今回のBEST盤ではファンの方からの楽曲リクエストも反映したということで、選曲にあたって、こういった意見を参考にした、発見があった、などといったことがあれば教えてください
林原 全体をまとめると、とてもわかりやすく3つの傾向がありました。
結果、ファンのリクエストと、私の入れたい曲はかなりシンクロしていましたけど。
1つは、節目、節目で、番組でかけたり、記念イベントで歌ったり…という、曲が生まれた経緯は、様々な作品に向けてだったり、アルバムの中でだったり、時代はまちまちだけど、ラジオを通して育ってきた曲たち。
もう1つは、やはり、人気アニメの主題歌ね。これは外せない! という暗黙の了解みたいなもの。
そして、アルバムならではのオリジナルソングに関しては、みんなそれぞれの生活の中でのシンクロ度だったり、今改めて聞いて思うことだったり、意見は正直バラバラなんだけど、生活が見える曲が人気でした。
――アルバムでは、林原さんにとっても大きな存在である岡崎律子さんによる楽曲が多く収録されていますが、こちらに関しては何か思い入れやこだわりなどはありますか?
林原 いやあ、もう思い入れなんてもんじゃないですね…、正直岡崎ベストを作りたくなっちゃったくらいです。
もちろん「もういない」「もう会えない」「あたらしい曲は歌えない」というどうしようもない理由も、その思いを色濃くしているけれど、やっぱり、あらためて聞いてもいい! 本当にいい! 10年歳をとって聞いても、やっぱいいものはいい!
無理やりではなく、やさしく、そっと、前には道があることを教えてくれる。そして、そこを歩けるようになるまで待ってくれる。
言いたいことは私も同じなはずなのに、アプローチが違うと、こうまでも伝わり方が違うものかなと思います。あらためて、岡崎さんに「くやしいよ!」と言いたい。
――新曲「Heart bridge」について。今回の新曲においても作詞を担当されていますが、タイトルの由来や、歌詞に込めた思いなどを聞かせてください
林原 正直、当初は今だに葉書に頼っているラジオ番組が1000回を迎えるという事実も念頭に入れながら、アナログの大切さやデジタルの淋しさも含みつつ、とにかく見失わないようにしていこう、自分をちゃんと幸せに導かないと、他人も幸せにできない的な歌だったのですが、全面改定!
震災後、安否確認をtwitterでしあったり、メールだけは遅れても何とか通じたりと、デジタルツールのありがたみを命レベルで再認識する中、私が問うべき事が一変しました。
それでも、きっかけはラジオ。
「私には何もできないけど、一日も早い復興をお祈りしています」
なんて、葉書が舞い込でくる。「何もできない」って日本人らしい、ちょっと遠慮した言い方で、使いがち。でもこんな時やっぱり「何もできない」って口にしちゃいけない気がするのね。「何ができるだろう」「少しでも力になれることはなんだろう」って思考に切り替えていかないと、あっという間に自分の住んでいる日本の出来事じゃなくなってしまう。(海外ならいいってわけじゃなくてね。)とても身近なことだって認識が、言葉の美しさと思いが嘘ではないことで、本当に必要な力そのものがうっすら消えてしまう。
もちろん、私と一緒に年齢を重ねてきたファンの人からは、こんなこと、あんなこと頑張っているとか、被災地からも葉書が来たりとか、力強いメッセージもありました。
でも、まだまだ迷っている人もいっぱいいて、中学生や高校生などなど、まだまだ年齢的にも若いファンの人たちへ、わかりやすい道を提示するのも大人の仕事かなと思いまして、楽曲配信の収益を義援金とすることを含めて、こんな曲となりました。
――「Heart bridge」では久しぶりのPV撮影に挑んだということで、PVの内容やシチュエーション、撮影時の思い出などを聞かせてください
林原 これは感謝感謝のファンサービスです
ベストだから、持っている人は新曲以外全部持ってる人もいるかもしれない…。
そんな中、特典として、お礼の気持ちを込めて制作しました。
当初、過去の映像をつなぎにつないで、1本つくろうか…なんて話もあったんだけど、やはり新曲の力強さに私も背中を押され、PVを撮影することになりました。
毎度毎度、
『「声優」なのになあああ…。何やってるんだろう…。なんでこんなにいっぱい人がいるんだろう。みんなこの撮影に集まってるんだ。不思議、本当に不思議。「なんか、林原めぐみさんって凄いなあ」。こんな凄いセットとかこの撮影のためだけに作られたんだ…。本当に凄いなあ、意味分かんないなあ…。』
とずーーーーーーっと思ってましたが…。
でもここが私の恐ろしいところで、一たび「本番!5・4・3・2・1…」と言われると、すーーーーーっと歌手の人が降りてきて、それはそれはふっ切って楽しく歌っております。
「はい、OK!」と言われると、またぼーーーーーとしてました。
我ながら、久しぶりに、私って変かも…って思いました。
撮影隊は、第一線であんなアーティストやこんなアーティストを手掛けるプロ集団。
総じて、「プロ」の仕事は気持ちいいです。
現場に無駄な滞りがなく、言葉数は少ないのに、やる気、本気な空気が懇々と流れて行きます。仕上がる前から、上がりに信用が持てるって素敵ね。
胸を張って、おっ楽しみにいいいい。
――もう1つの新曲「Re.Starting again」について。過去に保志総一朗さんが歌われた「Starting again」のカヴァー曲ということですが、こちらの曲をカヴァーすることになった経緯や思い入れなどを聞かせてください
林原 私の歌はアニメと対であることの産物でして、アルバム内のオリジナル曲は、ちょっとした「ごほうび」みたいな感覚なんですね。
で、「Heart bridge」を新曲として作ったら、いわゆるアニメの曲らしい歌を入れたくなってしまって…。そういえば…と保志君に相談を持ちかけまして、承諾を得て歌うことになりました。
これまた不思議なレコーディングでした。この曲は「ロストユニバース」という作品の保志君演じる"ケイン・ブルーリバー"というキャラに向けて書いた詞なんですけど、いざ"林原めぐみ"として、ガンガンに歌おうと思ったら、どうにもうまくいかなくて、あれこれ、レコーディングパートナーのたかはしごうさんからの指示を加味して、時間をもらって、「あれ? もしかして…」と思い、私の演じたキャナルに心の中に登場してもらいました。
それは「船」としてのキャナル。今私に乗っている"ケイン"としてイメージして歌ったら、いきなり「それです!」とOK。当然、たかはしさんは私の心の中のキャナルは知らないし、説明もしないけど、表現して出たものが答え。力強い奥の、ちょっとした温かさだったり、笑顔感だったりが、今回のこの歌にはベストマッチだったんだと思います。
そういった答え探しがいつもあって、それは産みの苦しみでもあり、とても楽しい作業です。
――今回、アルバムのジャケットアートワークを写真家の蜷川実花さんが手掛けていますが、蜷川さんとお仕事をすることになったキッカケなどはあったのでしょうか? また、蜷川さんとの初のお仕事はいかがでしたか?
林原 これもぼんやりと、かつて「情熱大陸」だったかな? 5年以上前に、TV番組で蜷川さんの特集を見て、「いつか、この人に会いたいなあ」って思っていたんです。「凄いなあ、さすがだなあ」と感動、関心する人は沢山いるけれど、じんわり「会いたいなあ」と思う人はそう多くない。蜷川さんの、リオのカーニバルを切り取った一枚がとても素晴らしくて、今でも脳裏に焼き付いています。
今回は、私という"個性"を超える“個性"が欲しかった。その時浮かんだのが、強烈な、圧倒的な色を発する蜷川さんの写真。ある意味、今までの"林原めぐみ"ではない"林原めぐみ"にしてほしかったし、なりたかった。大成功だと思っています。
蜷川さんご自身、綾波レイの大ファンだったりして、いきなり距離も縮まり、始終楽しく撮影しました。
――完成したビジュアルをご覧になってご自身の感想は? また、ジャケットアートワークでここに注目! といった点があれば教えてください
林原 ファンの人からも大評判。
「誰? 若い…、かわいい、つううか誰? みたいな…。」
あんまり、誰、誰、言われると若干腹も立ってきますが、蜷川ワールドに見事に溶け込んでいると自負しております。
今回のジャケットの色選び。
数ある色の中で強烈に表現したかった、水色と赤。そして、タイトルがなぜかホワイト。
ファンの方は、この奥のメッセージをくみ取ってくれているかなあ…。
ネタばらしはちょっと後にして、まずは写真を堪能してください。
――集大成とも言えるBEST盤の発売、ご自身のラジオの放送1000回突破、そしてデビュー20周年ということで、アニバーサリー的な1年になるかと思いますが、今までの活動を振りかえってみていかがでしょうか?
林原 全ての"声優"が歌に関わるわけではない中で、よくも、ここまで沢山の名曲(自分で言います)に出会ってきたものだと思います。
かつて、デビュー間もない頃、NHK教育の番組「なかよくあそぼ」の中でソラミちゃんという子に決まり、毎週、歌録りがありました。「あいさつのうた」「ごめんねのうた」「泣いちゃううた」などなど。声優を目指した私にとって、歌うという仕事は、あの頃と取り組み方も、心の置き場所も、根本的には変わっていません。オリコンやらチャートやらに身を置くことこそ増えましたが、「その歌の中にある思いをどうやったら、ちゃんと伝えられるか」が一番大事。たとえ自分発信であっても、キャラクター発信であっても。
沢山のキャラクターとの出会いあってこその今。
たとえ1曲でも、このアルバムの中の"思い"が伝わればうれしいです。
――最後に、ファンの皆さんにメッセージをお願いします
林原 昔好きだったあなたも、なんかこのアニメ良く見てた…なんて人にも。
"林原めぐみ"という人間がすっかり過去の人になってしまった人の目にもチラリと止まって、「うわ、まだやってんだ」とうっかり、まんまと手にとってもらえたら嬉しいですね。
長きにわたりずっと応援してくれている人。なんだかひょんなことで最近ファンになった人。ようは、間違いなく、このアルバムを買ってくれる人には、もう今更言うことはありません。感謝も、叱咤激励も、メッセージも、いい意味での裏切りも(楽しい裏切りね)、全部が全部お腹いっぱい入っています。安心してお買い求めください。
――ご自身の中での最近の流行りものがあれば、コッソリ? 声を大にして? 教えてください
林原 「断舎離」
今、部屋の模様替え中。
ぼーっと、ぼんやり、物も多くて、配置とか、いろいろ使いにくいなあと思って、あら10年。忙しさにかまけて、ほっぽっていました。
別に、使えない部屋じゃないし、仕事もできるし。
人ってやらなくてもなんとか済んでしまうことって、ついついやらないで生活しちゃうでしょ。パソコンもウイーーーーーンとCDを読み込んだり、読み込まなかったり…。まあ5回に1回は読み込むし…とか。そんな、ローテク満載な部屋を、ちょっとずつですが居心地の良い空間にしていこうとしています。
でも、まだ使えるパソコンを買い替える気にはならんのよね…。
ああ、電脳が欲しい。
タイトル | VINTAGE White | ||
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歌 | 林原めぐみ | ||
発売予定日 | 2011年6月11日 | 品番 | KICS-91670 (初回限定盤) KICS-1670 (通常盤) |
価格 |
3,500円 (初回限定盤) 3,000円 (通常盤) |
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仕様 |
【初回限定盤】 CD2枚組+DVD (新曲「Heart Bridge」PV収録) ブックレット封入 【通常盤】 CD2枚組 ブックレット封入 (初回限定盤と同内容) |
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発売元 | キングレコード |